国際問題ではなくて国内問題だったわけか

北朝鮮に対しては、取り敢えずは国連安全保障理事会武力行使*1抜きでの制裁案が決議され、北朝鮮は予想通りそれを拒絶した。http://d.hatena.ne.jp/good2nd/20061016/1160975239に過去の国連による制裁について纏めてあって、参考になる。今後情勢がどうなるのかはわからないが、http://d.hatena.ne.jp/kechack/20061015/p1での「武力制圧」に関する議論は拙文*2で述べたこととも重なっているか。また、


核武装「大いに議論を」=船舶検査法、見直し必要−中川自民政調会長

 自民党中川昭一政調会長は15日、テレビ朝日の番組に出演し、北朝鮮の核実験実施表明について「日本が攻められないようにするために、その選択肢として核(兵器の保有)ということも議論としてある。議論は大いにしないと(いけない)」と述べた。
 また中川氏は番組終了後、記者団に対し、自衛隊による船舶検査を定めた周辺事態法と船舶検査活動法に関し「かなり大幅な見直しが必要だ」と指摘。具体的には、(1)船長などの同意なしには船舶検査が行えず実効性に欠ける(2)周辺事態であっても地方の空港、港湾の使用権限が国にない−などの問題点を挙げた。ただ、「今国会で(改正案を成立させる)ということは難しい」と語り、来年の通常国会に向けて検討を進める考えを示した。 
時事通信) - 10月15日17時0分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061015-00000046-jij-pol

という報道もある。これは意識しているのかいないのかわからないが、北朝鮮が核実験を正当化したロジックを反復していることになる。但し、中川氏本人は

<核保有論議>中川政調会長「私は核武装反対論者」と釈明

 自民党中川昭一政調会長は16日、首相官邸で記者団に対し、核保有論議を提起した自らの発言について「私は核武装反対論者だ。非核三原則をいじるとはひと言も言っていない」と述べ、非核三原則堅持の立場を強調した。中川氏は15日のテレビ番組で「(日本に)核があることで、攻められないようにするために、その選択肢として核(兵器の保有)ということも議論としてある」などと発言していた。
 一方で、中川氏は「核を持たずに(北朝鮮のような国に対して)どういう対抗措置ができるか真剣に考えないといけない。その中で核の部分だけスパッと抜いて議論するだけでいいのか。議論することと非核三原則を守ることは決して矛盾しない」とも述べた。【堀井恵里子】
毎日新聞) - 10月16日20時39分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061016-00000075-mai-pol

と弁解しているらしいが。それはともかくとして、

 北朝鮮なんて国民が何人死のうと平気な国。何十万の国民が餓死したり、虐殺死しているのである。そんな国に核兵器など脅威でも何でもない。そもそも核兵器などの大量無差別攻撃兵器は、相手国の国民から戦意を奪い、厭戦気分を最大にさせ降伏を促すことを目的に使用されるものである。北朝鮮のように国民がいくら死んでも徹底的に洗脳されクーデターも起きなければ、為政者が国民の死を嘆くこともない国には効き目がない。核兵器なんて対北朝鮮には最も不向きな兵器で、ある程度民度の高い先進国に対抗するための兵器なのである。
という指摘は引用に値するだろう。昔、毛沢東が〈張り子の虎〉ということを言っていたということを思い出した*3
ここまでは取り敢えず〈国際問題〉なのだが、http://d.hatena.ne.jp/komachan/20061014/p1経由でhttp://d.hatena.ne.jp/s_kotake/20061011に行って、さらに

選挙:衆院補選・神奈川16区 争点?便乗?「北朝鮮」 自民、野党つばぜり合い
 「この選挙の性格が昨日からがらりと変わった」。衆院神奈川16区補選告示日の10日朝。河野太郎自民党県連会長の“宣言”で戦いは始まった。発足したばかりの安倍政権の是非という争点はかすみ、北朝鮮の核実験が前面に。「毅然(きぜん)とした態度を」と繰り返して北朝鮮への強硬路線を打ち出す自民陣営に対し、野党陣営は「核実験を止められなかったのは自民政権」と猛反発している。【足立旬子、佐藤浩

 伊勢原市で開かれた亀井善太郎氏(35)=自新=の出陣式で、河野会長は選挙の性格が変わったと切り出し、「亀井への1票は安倍晋三(首相)を支持する1票であり、日本が北朝鮮に対して毅然とした態度を取るという有権者の意思表示。野党への1票は北朝鮮と妥協してもいい、丸く収めようじゃないかという1票」と続けた。中川昭一政調会長も同調。亀井氏も「日本は毅然とした態度を」と訴え、北朝鮮批判の大合唱となった。

 対照的に後藤祐一氏(37)=民新=の出陣式では、菅直人代表代行が「北朝鮮の核開発問題は超党派で取り組まなければならない」と短く触れただけだ。河野会長らの発言に浅尾慶一郎民主党県連代表はあきれ、「的外れ。自民政権が核実験を止められなかったのではないか。与野党問わず核実験はけしからんと言っており、争点にならない」と憤る。

 笠木隆氏(60)=共新=を擁立する小池潔・共産党県委員長も「自民党は事実をねじ曲げており、徹底的に反論していく。北朝鮮に頼らなければならないほど自民党の政策は国民に信を問えないのか」と批判した。

毎日新聞 2006年10月11日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20061011ddm012010095000c.html

という記事を見ると、北朝鮮の核実験というのは日本の国内問題だったということになる。河野太郎という人はもっとリベラルな人だと思っていた。事実、靖国問題日中関係に関してはかなり真っ当な発言をしていたわけだが、どうしてしまったのか。やはり「自民党県連会長」としての役割行為か。

*1:中国語の表現では「動武」。

*2:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061014/1160799028

*3:但し、裏を返せば、張り子であっても本物と同じ効果を持つこともあり得るわけだ。富士川で水鳥の羽ばたきに驚いて逃げ出した平家。