上海の汚職問題は今週初め頃には大々的に報道されていたが、その後報道は止まっている。ただ、29日のShanghai Dailyには、ZHAN Yan “anti-graft fight tackles ‘tigers,’ not ‘flies’”という論説が載っている。
取り敢えず、『朝日』の記事を切り抜いておく;
中国共産党、上海市トップを解任 汚職に関与の疑い
歴代上海市トップとその後の経歴
中国共産党は24日、上海市トップの陳良宇(チェン・リアンユイ)・市党委員会書記(59)=党政治局員=を、同市の社会保障基金をめぐる汚職事件に関与していた疑いがあるとして解任した。国営新華社通信が25日伝えた。党政治局員の職務も停止した。陳氏は、江沢民(チアン・ツォーミン)・前党総書記につらなる「上海閥」人脈の一人。胡錦涛(フー・チンタオ)総書記(国家主席)としては、来秋の第17回党大会を控え、党幹部の腐敗行為を許さない強い姿勢を示すとともに、権力基盤を一層固める狙いがあると見られる。
新華社によると、陳氏解任の理由として、(1)一部の違法な企業経営者の利益を図った(2)法律や規律に違反した側近をかばった(3)職務上の便宜を利用して親族のために不当な利益を図った、などの「重大な規律違反」があったとしている。党委書記の職務は韓正・上海市長が代行する。
一連の汚職事件は今年8月中旬、上海市労働社会保障局長が社会保障基金から32億元(約470億円)にのぼる資金を民営企業家に違法に融資し、収賄などの疑いで解任されたことから始まった。党中央規律検査委員会が約100人のメンバーを上海に送り込んで調査したと伝えられ、その後の約1カ月間で、大手国有企業トップや陳氏の秘書役を長年務めた秦裕・同市宝山区党委副書記(区長)ら少なくとも4人が相次いで解任された。また、江氏に近い黄菊(ホワン・チュイ)副首相の妻も関与を取りざたされている。
年10%を超える成長を続ける上海経済は、不動産価格の高騰など過熱気味とされる。中央政府が全国的に引き締め策を求める一方、陳氏が温家宝(ウェン・チアパオ)首相に公然と異議を唱えたと伝えられるなど、中央政府と上海市側との間で対立が深まっていたとみられる。
(09/25)
http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200609250345.html
上海汚職、拡大の様相 市党幹部の聴取続く中国最大の経済都市・上海市で陳良宇(チェン・リアンユイ)氏(59)が、社会保障基金の汚職事件に絡んで市党委員会書記を解任された問題は、市当局や経済界に波紋を広げている。調査当局による市党幹部らへの聴取は続いている模様で、事件は拡大する様相を見せている。香港の株式市場でも、上海に投資する企業など関連株が値下がりするなど先行きの不透明感から困惑しているようだ。
解任が明らかになった翌26日付の中国各紙は、1面で大々的に伝えた。報道によれば、25日にあった上海市の幹部大会に党組織部の賀国強部長が出席し、陳氏の解任について「党の反腐敗に対する強い決意と鮮明な態度をしっかりと示すものだ」と演説。市党委の機関紙、解放日報は胡錦涛(フー・チンタオ)総書記(国家主席)ら指導部による陳氏解任の決定や反腐敗闘争を支持する評論を掲載した。
事件の調査にあたる党中央規律検査委員会の干以勝・秘書長は26日、北京市内で記者会見し、「さらに一部の人に波及する可能性がある」と述べ、事件が拡大する可能性を示唆。複数の香港メディアが陳氏の弟のほか、複数の市幹部も当局から聴取を受けている模様だと伝えた。
市関係者によると、事件関係者の海外などへの逃亡を防ぐため空港や駅、港でも異例の厳戒態勢が敷かれているとみられる。
一方、香港メディアによると、陳氏は24日の党政治局の会議に出席するため北京入りし、同会議で解任が決定すると、そのまま北京で党中央規律検査委員会による取り調べを受けているという。また、韓正市長が市党委書記の職務を代行することについては、中国経済を先導する上海での衝撃を抑えるための指導部の判断だったとしている。
(09/26)
http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200609260389.html
上海汚職、職権乱用で150億円調達上海市トップの陳良宇(チェン・リアンユイ)・市共産党委員会書記(59)が社会保障基金の汚職事件に絡んで解任された問題で、上海市新聞弁公室は28日、孫路一・市党委副秘書長(52)が「重大な規律違反」の疑いで調査当局に聴取されていることを明らかにした。陳氏の親類や市幹部ら側近が相次いで聴取され、腐敗の実態が浮かび上がりつつある。
上海の消息筋によると、調査を担当する党中央規律検査委員会は、これまでに陳氏の弟ら親族のほか、市幹部や企業家らを数十人規模で幅広く聴取。社会保障基金事件のほか不動産取引など複数の疑惑についても調べを進めている模様だ。胡錦涛(フー・チンタオ)党総書記(国家主席)ら指導部は、中国最大の経済都市の利権構造を解体し、陳氏周辺の幹部を一掃して影響力をそぐことを狙っているとみられる。
28日付の香港の親中国紙「香港商報」によると、社会保障基金から不正融資を受けて高速道路の運営権を獲得した民営企業家に対し、陳氏は関係部門に圧力をかけ、運営権料を引き下げさせたり、運営期間を20年から30年に延長させるなどの便宜を図った。陳氏の息子が幹部を務める北京の会社が資金難に陥った際、職権を乱用して10億元(約150億円)の資金を調達。また、父親は別の業者から住宅を、妻は商品券を受け取っていたという。
陳氏の秘書役を務めてきた秦裕・同市宝山区党委副書記(解任)は住宅5軒を所有。業者から100万元(約1500万円)以上を受け取った疑いがもたれ、党中央指導部が内々に陳氏に警告したにもかかわらず、陳氏は秦氏を重用し続けたという。
(09/28)
http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200609280410.html
「上海一の富豪」を聴取 市幹部との癒着追及 上海汚職上海市トップの陳良宇(チェン・リアンユイ)・市共産党委員会書記(59)が社会保障基金の汚職事件に絡んで解任された問題で、党中央規律検査委員会は、「上海一の富豪」と呼ばれ、04年に株価操作などの罪で実刑判決を受けた実業家、周正毅氏を聴取し、陳氏ら市幹部との癒着について追及を始めた模様だ。周氏の不動産取引などを巡る疑惑について、当時の調べが不発に終わった背景に陳氏らの圧力があった疑惑も浮上している。
香港メディアに聴取を受けたと報じられた江沢民(チアン・ツォーミン)前党総書記の親類で、公安局長を務めるなど市の警察・司法部門を管轄する党幹部(54)は29日、市公安局の会議に出席。拘束されていないことが明らかになった。複数の消息筋によると、今後、調査当局がこの幹部を聴取する可能性もあるという。
周氏は02年、総資産3億2000万ドルとされ、米フォーブス誌に中国富豪11位と紹介された。
香港メディアによると、周氏は同年、上海市静安区の約17万平方メートルの土地の使用権を、陳氏の弟の口利きで不当に安い値段で取得した疑いがもたれていた。党中央規律検査委が調べを始めたが、陳氏らが「上海のことは上海で解決する」と拒否したとされる。
周氏は03年、株価の不正操作と資本金虚偽報告の疑いで逮捕。土地取引の疑惑は解明されないまま懲役3年の判決を受けて服役し、今年5月に出所した。
中国の経済誌「財経」によると、服役中の周氏は頻繁に知人や部下らと面会し、携帯電話もかけられた。8月末に周氏の担当だった刑務所の看守が規律違反の疑いで拘束された。特別待遇には市上層部の指示があった可能性が指摘される。
さらに、中国紙「21世紀経済報道」などによると、周氏は国有の金融機関から少なくとも38億元(約570億円)の国債を流用した疑いがもたれている。上海市が50億元を財政出動させて穴を埋めたとの情報もある。この不正融資に陳氏の弟が絡んでいた疑惑も持たれている。
(09/29)
http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200609290371.html