伯剌西爾人の姓


中国人のアイデンティティの在り方というのは、言語とかエスニシティが絡まって複雑な様相を呈しているのですが、注目すべきは、〈姓〉*3へのアイデンティフィケーションでしょうか。東南アジアには〈姓〉毎の団体が軒を連ねていますが、最近大陸でも復活する傾向が続いているような気がします。勿論、韓国でもそうなんでしょうが、韓国人が日本や米国で〈金氏宗親会〉なんて作るの?
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060629/1151605000
中国ではなくて、伯剌西爾の話。


 「巴西球員為何有名無姓」『外灘画報』2006年6月22日、A11


私の妻もそうだが、この世の中で〈姓〉のない人など考えられないと思っている人が多いようなので*1、中国人が書いた記事かと一瞬思ったが、『石板書』という雑誌(何処の国の雑誌だ?)からの翻訳。
ワールド・カップ伯剌西爾ティーム23人のうち、17人が「只見其名而不見其姓」。この「有名無姓現象」は「一種巴西伝統」である。大統領がただ「ルーラ」と呼ばれるように、公式の場でもファースト・ネイム或いはニック・ネイムだけで通用してしまう。記事では、これは伯剌西爾の高い文盲率に関係しているかも知れないといい、また「奴隷制」の影響もあるかも知れないともいう。しかし、伯剌西爾旧宗主国たるポルトガルティームも10名が「無姓」であり、またポルトガルの殖民地であったアンゴラでも16人が「無姓」。さらに、ポルトガルの隣国である西班牙ティームは6人が「有名無姓」。ということは、広くラテン社会の文化伝統と関係があるのかも知れない。
そういえば、ジーコの姓が何なのか知らない。知っている人はかなりコアなファンということになるのか。

See also http://blog.eplus.co.jp/amin/2006-07-03

*1:とはいっても、中国国内の少数民族であるチベット人やウィグル人も姓を名乗らない筈だ。