徐匯藝術館及び「演豆〓〓*1」

 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20051229/1135821663で言及した徐匯藝術館*1 に行ってきた。淮海中路と復興路が交わるところ。因みに、この辺りは、米国、仏蘭西、イラン、独逸といった領事館が集まっている。職員の人も親切そう。
 現在行われているのは、「珍蔵的記憶:哈瓊文宣伝画作品展」*2。哈瓊文氏は回族で北京人。上海にて一貫してプロパガンダ・ポスターの原画作成に携わってきたという。展示されているのは、殆どがポスターの原画(油絵)である。「文革時代のポスターが展示されているよう」と書いたが、実際に展示されているのは、1960年代前半までと1970年代後半以降のものが多い。ので、文革期のプロパガンダ美術のワイルドさ*3を求める向きには物足りないのかも知れない。それはともかくとして、最初は蘇聯から輸入されたであろう社会主義リアリズムが、年画や連環画といった中国のフォーク・アートと習合しながら、微妙に変容していったことがわかる。「馬克思愛孩子」なる絵、好し。
 さて、淮海中路をさらに西に行ったところに、「演豆〓〓(Bean Show)」という店がある。だいたい宋慶齢故居の近く。以前よりタクシーやバスの中から気にはしていた。また、ここの珈琲は美味しいと薦める人もいた。「演豆」或いは” Bean Show”という言葉から察せられるように、ここは珈琲を淹れるということをパフォーマンスとして見せる店なのである。珈琲を注文すると、先ず客が珈琲豆の色と香りをテイスティングするところから始まる。それから、目の前で豆を挽くと、バリスタは徐にアルコール・ランプに点火するという具合である。たかだか珈琲を1杯飲むのに、そんな大袈裟なパフォーマンスに付き合っていられるかという人もいるかもしれない。毎日行くのは考えちゃうけれども、店の雰囲気にしても(BGMへの配慮を含めて)上海では得難いものがあることは事実なのだ。上海では珈琲を注文すると、菓子若しくはフルーツがついてくることが多いが、ここのビスケットは美味しく、珈琲によく合う。因みに、私が注文したのはマンデリン。

*1:http://www.xhculture.com/

*2:英文表記では、”Precious Memories Stored: Ha Qiongwen Picture-Poster Show”。

*3:それは未だに中国内外で、ポップ・アートとして、また商業美術として流用され続けている。