『藝妓回憶録』、李逵/李鬼

 上映開始が宙づり状態になっている*1『藝妓回憶録』であるが、その原作小説がまたややこしい紛争を惹起しているらしい。

  陳佳「“藝妓” 李逵冒充李鬼」
    『東方早報』2006年1月18日

 小説Memoir of a Geishaの中訳本は、1999年に青海人民出版社から『一個藝妓的回憶』として出版された。その版権は2004年に切れたのだという。それを承けて、上海訳文出版社から、新たに『藝妓回憶録』が刊行された。しかし、2005年になっても、青海人民出版社版は流通している。上海訳文出版社側が抗議したところ、青海側の回答は、出回っている「青海人民出版社」版の『一個藝妓的回憶』は「盗用我社名義出版的盗版」であるというものだった。さらに複雑なのは、『一個藝妓的回憶』は「内蒙古人民出版社」版も出回っているということだ。「内蒙古」版には訳者名が表記されていない。訳者の〓*2律元氏が「青海」と「内蒙古」に問い合わせたところ、「青海」側では「内蒙古」に出版権を与えてはおらず、「内蒙古」側ではそもそもそのような本を出版したことはない、つまり出回っている「内蒙古」版は「盗版」だというものである。
 記事のタイトルにある「李逵」と「李鬼」は『水滸伝』に因むもの。但し、『水滸』では、「冒充」するのは「李鬼」の方。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060117/1137517230

*2:chu3。ころもへん+者。GB8150.