喜多方ラーメンと「一茶一坐」

 大晦日、上海体育館前のFOX CITYというアウトレットの地下にある「喜多方ラーメン」に行った。実はこの店、私が上海にやってきたかなり初期の段階に発見していたのだが、内装も完成していたのにまだオープンはしていない状態だった*1管見の限りでは、上海にある所謂〈日式拉面〉はあの「味千ラーメン」を初めとして、九州系が主流のようで*2、関東人たる私としては、「喜多方ラーメン」という名前だけで、唾の量が増えてしまう。ラーメンと焼き餃子とビールを注文。ラーメンは〈喜多方ラーメン〉の味を再現できている。問題なのは餃子の方で、先ず餃子に大蒜が入っていないこと。中国では餃子に大蒜は入れないものだとしても、また私だって大蒜入りの水餃子は食べたくないのだが、にもかかわらず、日本の焼き餃子の味の決め手の一つは大蒜であることを再認識。さらに問題なのはタレで、餃子の場合、どうしても辣油+醤油+お酢ということになるが、出てきたタレを舐めてみても辛くない。どうも、辣油ではなくて、オリーヴ・オイルを使っているようなのだ。ということで、ラーメンは合格だけれど、餃子に関しては、かなり問題というか基本的な勘違いがあるんじゃないかというのが正直な感想。
 その前の日には、「一茶一坐」に行った。所謂中国式のティー・ハウスで、常に行列ができている。ここの問題点は、2つのコンセプトの矛盾だろう。つまり、お茶を飲むことと飯を食うこと。日本にも、〈甘味処〉というか〈和風喫茶〉はある。和風喫茶で〈玉露〉を味あおうという人はいないが、こちらのメニューには決して安くはない値段で様々なお茶のヴァラエティが記載されている。と同時に、〈点心〉以上の本格的な食事もできる。実はこの2つは容易く調和するものではないのだ。お茶が主であれば食事は決してお茶よりも目立ってはいけないし、飯が主であればお茶や酒は飯に対して従の位置に甘んじなければならない。この2つを対等な立場で両立させようとすると、出現するのは混乱だけだろう。「一茶一坐」で感じたのはそういうことだ。つまり、お茶を飲みつつ、まったりしたいのならば、ここはお薦めではないということだ。
 中国茶を飲みつつ寛くということで、お薦めはやはり紹興路の「漢源書店」でしょうか。

*1:Cf. http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=2461809&comm_id=339797

*2:タクシーの車内から見たのだが、南京西路の界隈に「天下一品」の文字。これって、京都のあの「天下一品」だろうか。