鹹い上海料理とか

上海料理は甘ったるいということを散々いってきたのだが*1、実は上海料理というのはそれだけではない。これは上海という都市の生成、或いは上海人というカテゴリーというか想像の共同体の構成にも関わっているのだが。例えば、上海料理には鹹い味付けのものがある。これは浙江省、特に寧波辺りの味付けに由来するもので、上海人を構成する有力な一派としてこの辺りから移住してきた人たちがおり、またこの辺りの言葉は上海語の生成にも影響を与えている。
さて、暫く前に上海から東京に転勤した知人のMさんが出張で上海に滞在しているというので、日曜日に新華路の「金錨」というレストランでランチをした。沈宏菲というグルメ評論家が上海料理(本幇菜)の店としてリコメンドしているのを、『TimeOut Shanghai』という雑誌で読んだからだ。ここの目玉料理として掲げられていた鶏肉のスープはかなり鹹く、それが妻には不満だったようだが、これは明らかに上で述べた鹹い上海料理の系譜を引いている。上海料理は、広東料理とか四川料理といった中華料理のほかの一派では考えつかないような変なものを出すことがある。その日食べたのでは、ポテト・チップにマロンのペイストを塗ってマヨネーズのサラダの上に載っけたもの。これでも中華かという感じだ。また、上海料理では何故かフォアグラをけっこう使用する*2。この日食べたのは、フォアグラを茸の煮付けに塗したもの。また、注文はしなかったが、メニューには、フォアグラを日本の寿司に添える甘酢生姜(ガリ)に塗したものがあった。
食後は新華路から歩いて武康路へ行って、Ferguson Lane*3でお茶を飲もうと思ったが、Coffee TreeもFranckも席がなかったので、さらに復興西路まで歩いて、「城市山民(Urban Tribe)」*4で裏庭を眺めながらお茶をする。日本で展開するとすればどんなビジネスがいいかと訊かれたので、農業、特に東京のような大消費地の近くでの有機野菜の大量の供給と、あまり根拠なく答えた。