Mixiを巡って

最近「マイミク」さんが増えているのだが、これはKB効果。
そのKB繋がりの山本創造さん経由の情報。『朝日新聞』の記事なり;


ミクシィ、総利用時間で3位浮上 ヤフー、楽天に次ぎ
2006年06月28日19時16分
 ネット上で交友関係を広げるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手「mixi(ミクシィ)」は、5月の日本でのネット利用者の総利用時間が、ポータルサイト「Yahoo!ジャパン」、ネット商店街楽天市場」に次ぐ3位に入った。インターネット調査会社ネットレイティングスが28日、調査結果を発表した。SNSの集客力が、ポータル、物販サイト並みに伸びている現状を示した。

 1位のヤフーが1億2482万時間。前月4位だったミクシィは1444万時間で、掲示板サイト「2ちゃんねる」(913万時間)を抜き、2位の楽天(1627万時間)に迫る勢い。1人あたりの月間平均利用時間でみると、ミクシィは約4時間半で、ヤフーを1時間余り上回っている。

 SNSは、参加者が自己紹介を公開し、共通の趣味や紹介などを通じて交友を広げる。04年2月に運営を始めたミクシィは、会員数が約460万人の国内最大手。

 ネットレイティングスの調査は、国内約2万人対象のサンプル調査をもとに推計している。
http://www.asahi.com/business/update/0628/135.html

また、去年の記事ではあるが、岡田有花「研究対象としての「mixi」」*1は、Mixiの「ネットワーク分析」を取り上げている*2。山本さんも指摘していたが、いちばんわかりやすく且つ興味深い部分は、

 mixiユーザーの平均マイミク数は20.95人だが、その分布はかなり偏っている。ATRネットワーク情報学研究所の湯田聴夫研究員らの研究によると、50.9%のユーザーがマイミク数4人以下。マイミクが1人だけのユーザーも23.6%いた。
 マイミク数5人以上の分布は、5〜11人が17.1%、12〜25人が24.3%、26〜40人が15.4%、41〜87人が20.6%、88〜197人が10.1%、198〜1301人が2.9%となっている。
 マイミクの多い少数のユーザー同士は非常に濃くつながっており、彼らがハブとなって全体の人間関係をつないでいるようだ。マイミクが41人以上のユーザーは全体の4.8%に過ぎないが、構成するリンクは全体の33.6%を占める。一方、マイミクが5人以下のユーザー(全体の50.9%)が構成するリンクは、全体のリンクのわずか9.5%に過ぎない。
という部分か。

*1:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0509/14/news040.html

*2:データは2005年2月当時。「ネットワーク分析」ということで、やはり安田雪さんが絡んでいるのね。

The Analects translated by Arthur Waley

中国では洋書は高いし、そもそも(日本でいえば)丸善紀伊国屋レヴェルの洋書屋もない。ただ、大きな本屋には一応洋書コーナーがあるのだが、中心は中国旅行ガイド、ビジネス書、それから古今の小説類が中心で、アカデミックな本は殆どない*1
中国産の洋書は安い。例えば、外語教学與研究出版社の「大師経典文庫(World Classics)」というシリーズ。その中のConfuciusThe Analects(1998)を買ったのは、偏に訳者がArthur Waley*2だったからである。この英訳はそもそも1938年に刊行された。この本は1996年のWordsworth版

Analects (Wordsworth Classics)

Analects (Wordsworth Classics)

に依拠しているらしい。英訳、原文(簡体字)のほかに、湯一介氏の「序言」を付す。
例えば、冒頭の「学而時習之、不亦悦乎」は、”To learn and at due times to repeat what one has learnt, is that not after all a pleasure?”である。
日本では、Waleyは『源氏物語』の最初の訳者として専ら知られているかも知れないが、やはりその本領は中国文学であろう。Waleyの本で最もお得だと思われた本は、(多分既に絶版になっていると思うが)岩波新書の『李白』。日本の読者は、李白の詩句のWaleyによる英訳に加えて、原文、読み下し、それから(Waleyの英語からの)現代語訳を一挙に愉しめるのだ。
今回、http://www.umass.edu/wsp/sinology/persons/waley.htmlを見たら、Waleyは1966年まで生きていたのだ。
自らへの戒めとして、

子曰:“不患人之不自己知、患不知人也。”

The Master said, (The good man) does not grieve that other people do not recognize his merits. His only anxiety is lest he should fail to recognize theirs.
(p.10, 11)

を最後に引用しておく。

*1:偶に日本の文庫本がちょろっと置いてある。

*2:Cf. http://www.umass.edu/wsp/sinology/persons/waley.html

省というのは?

そういえば、6月15日は「千葉県民の日」だったですよ。
Skeltia_vergberさんからの問いかけに一応答えようと思っているのですが。
Skeltiaさんの問いかけは、


中国の事情はどうなんでしょう?「省」という意識と、日本でいう都道府県意識は類似するものと考えていいんですか?
そもそも中国で市町村合併なんてあり得るんですか?日本だけの文脈ですかね?
というもの。
これは全くの私的印象にすぎないのですが、中国人が自ら積極的に〈省〉としてのアイデンティティを主張するというのはあまり目や耳にしたことはありません。但し、違う政府に統治されてきた台湾は例外。また、中国は上からの〈道徳的キャンペーン〉が好きな国ではありますが、その呼びかけの対象は〈省〉ではなく、〈市〉以下の単位です。対外的な(観光客や投資の誘致のための)呼びかけを除いて、〈省〉が対内的に人民を自らにアイデンティファイさせようというのはあまりないのだろうと思います。また、広東人等々アイデンティファイの仕方はあるのですが、それは言語を初めとして、料理その他の文化的アイテムの共有に基づくものであり、〈省〉の境界とは必ずしも重ならないし、例えば広東人が、同じ広東省に住んでいながら言語その他の文化的アイテムを共有しない、例えば客家の人々に対しても、俺たち広東人という意識を持っているかどうかは甚だ心許ないんじゃないでしょうか。あと、〈省〉としてのアイデンティティが形成されるとしたら、スティグマとしてでしょうか。例えば、上海における出稼ぎ労働者の中心的な存在である安徽省の人々は、上海人から様々な差別的なスティグマを被っていますが、それがどれだけ内面化されているか、またそうしたスティグマに対してのリアクションがどんなものなのかはちょっとわかりません*1
ところで、実は、上海にいながら、上海人の知り合いというのはあまりいないのだ。中国人でも、北京その他の場所に生まれて、日本とか米国とかを経由して上海に偶々居着いた人たちばかり。そもそも上海人の定義そのものは、以前から人類学的・社会学的には問題となっているわけですが。少なくとも、〈上海語〉のネイティヴ・スピーカーではない。
中国人のアイデンティティの在り方というのは、言語とかエスニシティが絡まって複雑な様相を呈しているのですが、注目すべきは、〈姓〉*2へのアイデンティフィケーションでしょうか。東南アジアには〈姓〉毎の団体が軒を連ねていますが、最近大陸でも復活する傾向が続いているような気がします。勿論、韓国でもそうなんでしょうが、韓国人が日本や米国で〈金氏宗親会〉なんて作るの?
それから、中国における大規模な「市町村合併」の例としては、革命後の武漢市(湖北省)の創設があります。所謂「市町村合併」とは違うのでしょうけど、松江などの上海郊外地区が上海市内に組み込まれるようになったのは最近のこと。東京でいえば、それまで04地区だったところが、XX区になり、03になったという感じでしょうか。

*1:日本における県民アイデンティティにおいても、差別的スティグマとそれへのリアクションというのは重要なファクターだろうと思います。特に、千葉人のアイデンティティはそれ抜きにはあり得ない! 例えば、埼玉の人間に何かいうと、千葉に言われたくないというリアクションが返ってきたりとか。

*2:日本の〈苗字〉とは違う。

手術は延期

承前*1


水曜日、雲南省の大理に住む(まだ会ったことのない)叔父さんが急病の手術のため、妻子兄弟と地元の医師を引き連れ、上海にやってくる。病院側の勘違いかどうか知らないが、何故かすごいVIP待遇。奇妙な偶然により、初対面となった。上海在住の私たちは入院の準備やら家族のためのホテルの手配やらで、あちこち走り回る。
29日の午前11時に手術が始まるということで、病院に行ったが、前の手術が長引いているのか、全然搬出する気配はなし。そうこうしている裡に、昼食の出前が届き、病人のベッドの横で食べ始める(本人は点滴による栄養補給)。手術室が空いたのはもう2時半頃か。買い物に行って、4時過ぎに戻ってくると、もう病室に本人が戻っている。傷もなく、意識もはっきりしている。CTスキャンを撮ったところ、血流の強度が強すぎるので、手術は延期。金曜は手術室の空きがないので、来週に延期。