講談社だった

「子ども時代にリライト版を読む前からネタバレを食ったガストン・ルルー『黄色い部屋の秘密』をようやく完読した」https://kj-books-and-music.hatenablog.com/entry/2023/08/26/233415


ガストン・ルルー*1の『黄色い部屋の秘密』の新訳が2015年にハヤカワ文庫から出ていたという*2。新訳であるのみならず、原文の論理的に不整合な部分も修正されているというけれど、これは翻訳のあり方としては賛否両論のあるところなのではないだろうか。
さて、『黄色い部屋の秘密』は中学生のときに講談社文庫版を読んだ。訳者は石川湧。上記のエントリーもそうなのだけど、Wikipediaとかを見ても、新潮文庫版や創元推理文庫版は言及されても、講談社文庫版への言及というのはないのだった*3。それで、世間では講談社文庫版の『黄色い部屋の秘密』はなかったことにされているのか? 自分が中学生のときに読んだのは何だったのか? とか不安になってきた。「黄色い部屋の秘密」+「講談社文庫」で検索しても、上位ではハヤカワ文庫版の情報が表示されたりするのだけど、国会図書館も蔵書していることがわかり*4講談社文庫版の『黄色い部屋の秘密』はたしかに実在しているんだと実感した。また、amazon.co.jpでも買える。

石川湧は1976年に他界しているが、翻訳家としてはジュール・ヴェルヌモーリス・ルブランの翻訳で有名なのではないだろうか。今回彼が戦前の共産主義者で、『唯物弁証法とは何か』とか『フランス唯物論』といった著書をものしていたことを知った*5
さて、『黄色い部屋の秘密』には『黒衣夫人の香り』という続編があるとのことだけど、これは石川湧訳が創元推理文庫から、日影丈吉訳がハヤカワ文庫から出ているようだ*6。また、『黄色い部屋の秘密』のハヤカワ文庫旧訳は日影丈吉である。