年齢?

高堀冬彦「NHK『大奥』話題になるも視聴率は惨敗、背景にドラマの“テーマ”とNHKの“狙い”」https://news.yahoo.co.jp/articles/bf209ef7d5d3ce42cae93f12606f9a61a31f1077


NHK『大奥』*1「視聴率」は低かったという。


冬ドラマの視聴率上位の5作品は次の通り。個人視聴率は「4歳以上のうち何%が観ているか」を表し、世帯視聴率は「何%の家が観ていたか」を示す(2月20日~同27日、ビデオリサーチ調べ、関東地区)


(1)TBS系日曜劇場『Get Ready!』(日曜午後9時)個人5.7%(世帯9.1%)
(2)テレビ朝日系『警視庁アウトサイダー』(木曜午後9時)個人5.2%(世帯9.4%)
(3)フジテレビ系『罠の戦争』(月曜午後10時)個人4.8%(世帯8.3%)
(4)日本テレビ系『大病院占拠』(土曜午後10時)個人4.4%(世帯7.1%)
(5)TBS系『100万回 言えばよかった』(金曜午後10時)個人4.2%(世帯7.6%)


『大奥』は個人3.1%(世帯5.7%)で12位。同じ時間帯のTBS系『夕暮れに、手をつなぐ』3.4%(世帯5.9%)を下回った。

特に若年層での「視聴率」が低いという;

ここに記した個人視聴率は全体値だが、ほかに性別、年齢別の個人視聴率もある。『大奥』の性別、年齢別データを見てみると、男女ともに若い世代には敬遠されている。

 中でも男女10代、男女20歳から34歳の個人視聴率がかなり低い。コア視聴率(13~49歳の個人視聴率)は『夕暮れに、手をつなぐ』が2.7%なのに対し、『大奥』は1.5%である。

そして、何故「若い世代」に人気がないのかがつらつらと〈考察〉されている;

根底にあるテーマが骨太で重厚なのが大きな理由だろう。軽くないからだ。この物語の前提には、若い男子のみ罹って、死に至らしめる架空の難病「赤面疱瘡」がある。

 それが基で男女が逆転し、観る側に現代にも通じる感染症問題やジェンダー問題、少子化問題などを考えさせる。映像は華やかだが、ヤワな作品ではない。観る側に一定の問題意識を要求する。

 このため、中高年男女の個人視聴率は高い。中高年はもともと全般的にドラマをよく観る上、社会問題にも関心を持っている人が多いからだろう。

 中でも『大奥』を最も観ているのは50代以上女性だ。冨永愛(40)が演じる8代将軍・徳川吉宗らの凜々しさに惹かれるのも一因ではないか。天海祐希(55)、大地真央(67)らを輩出した宝塚の男役スターのファンが多いのも中高年の女性である。


NHKも視聴率は大いに気にする。特に連続テレビ小説大河ドラマはそう。それは制作者たちも認めている。評価にも関わる。なにより、受信料を唯一の収入源にしているにも関わらず、ほとんど観られていないようなドラマはつくれない。

 半面、世帯視聴率時代が終わったので、狙った視聴者層が観てくれたら、いいのである。「ドラマ10」は最初から中高年がメインターゲットにしていると思しき作品が並ぶ。朝ドラが主婦を視聴者層の中心と考えているのは周知の通り。大河ドラマはファミリーを意識している。若い世代に向けては平日午後10時45分からの『夜ドラ』がある。

「ドラマ10」の作品には共通点がある。テーマがシリアスなのだ。たとえば山下智久(37)が主演した2022年春ドラマ『正直不動産』の場合、コミカルな作風だったものの、観る側に「仕事とは何か」「生きることと仕事の関係」などを問い掛けてきた。

『正直不動産』も高い評価を得たが、視聴率はやはり低かった。同6月7日放送の最終回は個人3.5%(世帯6.5%)。もっとも、こちらも中高年には歓迎された。最終回の個人視聴率は50代以上の女性が5.9%、男性は同5.3%と高水準だった。NHKも成功だったと考えるから、冬にはスペシャル版を放送する。

 個人視聴率時代に入り、狙った視聴者層が観てくれれば良いという考えになったのは民放も同じ。今のスポンサーの多くはコア層にCMを見せたいと考えているため、局側もコア層をメインターゲットにしたドラマを中心に制作している。

まあ、 天海祐希*2大地真央といった「宝塚の男役スター」の系譜との比較は面白いけれど、まあどうなんだろう。かなり眉唾。
それよりも、この「視聴率」が語っているのは、TV番組を主にTV受像機で視る世代だけじゃなくて、配信を通してスマートフォンタブレットやノートPCで享受する世代があるということなのではないだろうか。
スポーツニッポン』の記事;

最終回迎えた男女逆転「大奥」なぜ人気? 配信歴代最高&トレンド入りの大ヒット 注目集めた“ある理由”
3/15(水) 11:01配信



スポニチアネックス

 “男女逆転の大奥”を描き、SNS上で話題を集めたNHKドラマ10「大奥」(火曜後10・00)は14日、第10話が放送され、「Season1」が完結した。インターネット上には、終了を惜しむ声や感謝の声が続出。「大奥ロス」が広がった。第1話放送後から、ツイッタートレンド入りし続けた話題作。初回(1月10日)の同時・見逃し配信サービス「NHKプラス」における視聴数は、これまで同サービスで配信された同局の連続テレビ小説大河ドラマを除く全ドラマの中で歴代最高を記録した大ヒットとなった。原作漫画はこれまでに他局で3度、映像化されているが、4度目の映像化にしてなぜここまで大きな反響を呼んだのか。このドラマを企画した、岡本幸江プロデューサーの思いとは。


 <※以下、ネタバレ有>

 原作は漫画家・よしながふみ氏の同名人気作。3代将軍・徳川家光の時代から幕末・大政奉還に至るまで、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描き、センセーションを巻き起こした。

 この原作は過去3度、映像化されている。2010年にTBSを中心として映画化され、続編として2012年10月に同局で「大奥~誕生 有功・家光篇」が連続ドラマ化。さらに同年12月に映画第2作「大奥~永遠~ 右衛門佐・綱吉篇」が公開されている。

 14日に放送された最終回の第10話は「八代将軍吉宗・水野祐之進編」。村瀬正資(石橋蓮司)の“謎の死”と同時に紛失していた没日録が、徳川吉宗冨永愛)の手元に戻る。しかし、隠されていた衝撃の事実を知ることに。そして、将軍の座を長女・家重(三浦透子)に引き継ぎ、後世へと希望を託し…という展開。キャスト陣の熱演は「1クールで何度泣かせるんだ!1話の間で何度泣かせるんだ!マジで毎将軍のラスト大号泣してるんやが!」「完璧すぎた(泣いている)」と、視聴者の涙を誘った。

 岡本氏は、他局が映像化するよりも前にこの「大奥」の映像化を構想していた。だが、新設ドラマ枠での映像化を模索していた矢先にTBSでの映像化が決定。涙をのんだが、あれから10年以上がたち、原作漫画の完結を受けて自分の手での映像化を決意した。

 また、このタイミングでの映像化を決めたのは、新型コロナの影響もあった。企画を練り始めたのは、初めて緊急事態宣言が敷かれ、外出自粛が求められた2020年。「新型コロナの影響で、人々はみな非常に緊張感のある中で生活をしていた。そんな中、ドラマを見るときぐらいは日常の窮屈感みたいなものを忘れたい…というような気持ちがあった。ダイナミックで日常を忘れさせてくれるような大胆な構想のもので、でも、感動とか感情とかは絵空事じゃなく、ちゃんと共感できるもので…と考えたときに、浮かんだのが『大奥』でした」と回顧。「『大奥』は時代劇かつ、男女が逆転しているという、設定が物凄く大胆。しかし、実はそこに流れる感情は現代にも通じる非常に普遍的な物語で。その両方を兼ね備えているという意味で、私は今こそ、やっぱり『大奥』なんじゃないかと思いました」と、決め手を明かした。

 さらに「大奥」では、若い男子のみが罹患し、感染すればほぼ死に至る「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」がまん延した江戸時代が舞台。岡本氏は「10年前はフィクションの、ありえない病気なんだなと思っていましたが…絵空事じゃなかった」と、現代とのリンクに運命めいたものを感じていた。

 実際に、このドラマに現実の新型コロナを重ねて見る人も多い。感染者を過度に恐れ遠ざけようとする心も、ワクチンの重要性を説きながらもなかなか受け入れられない世間の反応なども、非常に酷似している。この物語には、感染症に関することのみならず、男女の運命、逆縁に不妊と、多くの課題が共通してそこにある。岡本氏は「時代劇という設定の一つのファンタジーの上に、『男女逆転』というもう一つのフィクション設定が乗っている、非常にフィクショナルな設定。しかし、今の日本社会や、日本だけじゃなく世界が抱えている問題や困難が、非常に面白く、魅力的な物語の中に描かれている。近代のわれわれに共通する問題や課題みたいなものが、凄くわかりやすく…現代の人が感じ取りやすく描かれている」と作品の魅力を熱弁。「なおかつ、人の心や気持ちなど、そういった時代を超えた普遍性みたいなものも、同時に感じさせてくれる。社会の課題や困難と、物語的な感動。両方が同時に魅力的に描かれているのが、よしながふみさんの凄い発明といいますか、凄いお力だと思っています」と原作に流れるメッセージに衝撃を受けた。

 現代を取り巻くさまざまな問題を、実力派キャストの演技にのせて「自分ごと」として捉えられること。解決策が見えない感染症との戦い。これら現実を襲う困難を、歴史ものかつ男女逆転の世界という“ありえない物語”の中に投影したことが、多くの視聴者の心をつかんだ。

 ネット上では「養生所の場面では医療従事者や介護従事者の苦労を。腑分けを願い出る小川笙船には最前線医師の苦悩を。進吉の申し出には薬品に携わる人々の必死の努力を。振り返ると、それぞれを現実のコロナ禍でもがいてくれている関係者と重ねてしまうな。改めてありがたい」「今の政治家に聞かせてやりたい名台詞がいっぱいだよ…」「赤面疱瘡という疫病が大きな題材となっていた大奥の最終話が、奇しくも令和の世では新型コロナウイルスに係るマスク着用の見直しが行われた翌日というのも何とも因縁めいてる」「赤面疱瘡との戦い、めちゃコロナとの戦いと酷似してる」「大奥、すごく良かった。コロナ禍だからか身に沁みた」という声が続出した。

 原作ファンからは「キャストが全部はまり役」とキャスティングを絶賛する声が多数上がったほか、原作を知らない層からも「ドラマがよすぎて思わず全巻ポチってしまった…」と相乗効果も生まれている。原作の大ファンだという岡本氏も「ストーリーとして面白いだけではなくて、どこかで“現在の日本はどうなのか”と感じさせる部分がある。翻って、私たちはどうなのかと常に問いかけられる」と思いを吐露。ストーリーや俳優陣の演技を「楽しむ」だけではなく、視聴者それぞれが自分の心で考える“動機”を与えたこと、それをネット上でつぶやき、共有し合うこと。それが高いレベルで行われたのが「大奥」という作品だった。

 いよいよ赤面疱瘡撲滅へ本格始動する「Season2」。「医療編」「幕末編」と銘打ち、今秋放送される。
https://news.yahoo.co.jp/articles/892ab8a765d502b931a024877700bb6eed633f58