ノンフィクションがフィクションに負けた、ということか

『紅白』はきゃりーぱみゅぱみゅが終わった辺りまで視た。泉谷しげるはいいや! という感じ。
その『紅白』(後半)は視聴率44.5%を達成したという;


紅白歌合戦>後半44.5%で年間視聴率トップに サブちゃん、AKB大島“卒業”で半沢かわす

まんたんウェブ 1月2日(木)11時15分配信


 ビデオリサーチは2日、昨年12月31日に放送された「第64回NHK紅白歌合戦」の平均世帯視聴率を発表した。関東地区で前半36.9%、後半(午後9時から)44.5%を記録。6年連続で後半40%超えを記録するとともに、42.2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)の高視聴率を記録した連続ドラマ「半沢直樹」最終回(TBS系)を上回り、13年に放送された全局番組の中で年間1位の視聴率を達成した。今回が“紅白卒業”となった北島三郎さんのフィナーレステージや、AKB48大島優子さんがグループ卒業をサプライズ発表するなどの高い話題性が視聴率に貢献した。


 年間視聴率トップは近年、紅白歌合戦か、サッカーW杯をはじめとしたスポーツ中継が占めるのが定番。だが、昨年は、連続ドラマ「半沢直樹」最終回の視聴率が42.2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)でそれまでのトップに立っていた。過去5年で、紅白歌合戦の視聴率が42.2%を上回ったのは2012年(42.5%)の1回だけという状況で、トップの座が危ぶまれていた。

 しかし、人気を集めた朝の連続テレビ小説あまちゃん」などの特別企画や通算50回を機に“紅白卒業”を決めた北島さんの特別ステージ、極秘リハーサルを行ったLinked Horizon(前半部放送)などが事前から話題を集めたほか、ももいろクローバーZゴールデンボンバーAKB48といった前回のステージパフォーマンスが注目されたアーティストを後半部に移動させたことも奏功した。さらに、お目当ての歌手が登場する時間がわかるスマートフォン向けアプリを配信するなど、若年層にもアピールした。

 なお、同時間帯の民放トップ(関東地区)は「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の特別版「絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時!」(日本テレビ系)で、第1部が19.8%、第2部(午後9時から)17.2%だった。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140102-00000001-mantan-ent

武田砂鉄*1「なぜ紅白は、演歌歌手の後ろにアイドルをはべらせるのか」http://bylines.news.yahoo.co.jp/takedasatetsu/20140101-00031199/


曰く、


紅白の前半戦に登場する演歌歌手がアイドルにヘルプを頼むのは、この何年も続いてきたことだ。しかし、今回、後半戦に登場した演歌界の重鎮・五木ひろしが「博多ア・ラ・モード」を、HKT48などAKB48勢を従えて登場したことはなかなかショッキングだった。しかも、特に何かを踊らせるでもコスプレさせるでも無く、ただただはべらせて、サビのコーラス「ア・ラ・モード〜♪」を歌ってもらうという演出は、(誰しも思ったことだろうが)高級クラブで何本もロマネ・コンティを入れて互いに上機嫌になっている上客と女性陣の構図だった。「中州の いじわるなネオン」「二度と離さない フォールインラブ」との歌詞が、あからさまな構図のチープさをますます際立たせていた。
「高級クラブで何本もロマネ・コンティを入れて互いに上機嫌になっている上客と女性陣の構図」ではなく、金正日と〈悦び組〉の構図でしょう。また驚くとともになるほどとも思ったのは、裏番組である『年忘れにっぽんの歌』の評価が高いということ*2。それから、『あまちゃん』コーナー*3。曰く、

紅白の「あまちゃん」コーナーが大きな感動を呼んだのは、あれだけの人数が総結集していたのにもかかわらず、どの出演者にも丁寧に役割が与えられていたから。だからこそ、また1つの物語が生まれたのだ。とりあえずはべらせておく、の対極にある演出だった。応急措置にアイドルを乱用するのをやめたほうがいい、ということを、たとえば、それぞれ個々人のみで歌い上げた能年玲奈橋本愛小泉今日子薬師丸ひろ子の圧巻のメドレーが教えてくれた。自前のヒット企画が自前の看板番組の在り方を問い質すような瞬間だったのだ。
能年玲奈橋本愛小泉今日子薬師丸ひろ子の圧巻のメドレー」ということだけど、「能年玲奈橋本愛小泉今日子薬師丸ひろ子」としてではなく、あくまでも天野アキ、足立ユイ、天野春子、鈴鹿ひろ美として歌ったということが重要だろう。これは、ノンフィクションに対するフィクションの勝利ということだ。
さて、よく考えてみれは20年前だったら(今は見る影もない)小室哲哉一派が席捲していた筈なのだが*4、『紅白』を視ていて感じたのは〈寡占化〉ということだった。上の武田砂鉄さんもちょこっと書いていたが、ジャニーズ系のほか、AKBの子会社、EXILEの子会社ばかりじゃないか。なお、『紅白』よりも「レコード大賞」の方が危機は深いと思う。