タックルされた!

承前*1

朝日新聞』の記事;


日大理事らを逮捕 病院建て替えめぐる背任容疑 東京地検特捜部
2021年10月7日 11時06分


 日本大学の付属病院の建て替え工事をめぐり、日大の資金2億2千万円を外部に流出させて大学に損害を与えたとして、東京地検特捜部は7日、日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)と医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)の前理事長・籔本雅巳容疑者(61)を背任容疑で逮捕し、発表した。

 2人は任意の事情聴取では容疑を否認していたとされる。

 関係者によると、日大は2019年12月、医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事の設計・監理業者を選ぶ「プロポーザル」(提案型の審査)業務を、井ノ口容疑者が取締役を務める完全子会社「日本大学事業部」(世田谷区)に委託した。事業部は、参加した4社のうち都内の設計事務所を選んだ。

日大理事に2500万円、流出資金「還流」か 東京地検が本格捜査へ
 日大は、価格交渉した事業部の提案通り、20年4月に24億4千万円で設計事務所と契約し、一部の約7億3千万円を同年7月に支払った。翌8月、このうち2億2千万円が、籔本容疑者が全額出資した実体のないペーパー会社に「コンサルタント料」名目で送金された。

 特捜部は、送金は井ノ口容疑者の指示で実行されたとみており、日大から委託された任務に背いて大学に不要な支出をさせて損害を与えたとして逮捕に踏み切った。籔本容疑者については、井ノ口容疑者の犯行に加担した「身分なき共犯」にあたると判断した。

 籔本容疑者が出資したペーパー会社に2億2千万円が流出した直後の9月には、錦秀会の関連会社から井ノ口容疑者の知人側のコンサル会社に6600万円が送金された。このうち3千万円は知人側の別会社に移され、知人はこのうち計2500万円を今年3月と6月に井ノ口容疑者に手渡したという。

 井ノ口容疑者は日大の田中英寿理事長の側近。アメリカンフットボール部のコーチだった18年、悪質タックル問題で選手らに口封じしたとされ、同年7月に日大理事と事業部の事業企画部長を辞任した。19年12月に事業部取締役、20年9月に日大理事に復帰した。

 錦秀会は関西屈指の医療法人グループで、理事長だった籔本容疑者は田中氏とはアマチュア相撲を統括する日本相撲連盟の副会長を共に務め、井ノ口容疑者とも親しいという。

 特捜部は9月8~9日、日大本部、日大事業部のほか、田中氏の自宅や理事長室、錦秀会の関連会社などを一斉捜索し、資料の分析や関係者の聴取を進めていた。籔本容疑者は9月17日付で理事長を辞任した。
https://www.asahi.com/articles/ASPB73J5QPB7UTIL004.html

「 身分なき共犯」ってどういうこと?


NEWS ONLINE 編集部「民間人の起訴も可能な「身分なき共犯」とは~IR汚職で元政策秘書も起訴」https://news.1242.com/article/202142


「IR汚職」で秋元司*2の秘書が「身分なき共犯」として起訴されたことを巡る野村修也氏*3(弁護士)の解説;


もともと贈収賄罪というのは、公務員という身分を持っている人について成立する犯罪です。収賄側の秋元議員は特別公務員ですから、公務員としての身分があったということで収賄罪になっています。しかし、秘書の人は公務員ではないので、収賄罪が直接は適用されないということが問題となるのですが、共犯者として処罰される余地があります。これは、刑法の65条に規定されているのです。本来は身分がないので直接は処罰されないだろうと思っているかもしれませんが、一緒に罪を犯せば共同正犯という扱いになりますし、あるいはそれをそそのかしたり助けたりすると、教唆犯や幇助犯と言われるような共犯者としての処罰を受けるということになるのです。そのときは身分がなくてもいいということになっていますが、なぜそういう風にしているのかと言えば、身分がなければ犯罪にならないというのであれば自分は罪に問われずに身分のある人を使って、その人だけを処罰させるような悪さをする人が出てくるからです。