Importance of “No”

「ゲド戦記」の世界 (岩波ブックレット)

「ゲド戦記」の世界 (岩波ブックレット)

清水真砂子『「ゲド戦記」の世界』から。
アンソニー・ホプキンスが好きな言葉はNoであるという(pp.2-3)。


「ノー」という言葉については私にもいろいろ思うところがありまして、私が子どもに最初に覚えてほしいと願っている言葉も、実をいうと「ノー」なんです。「いや」という言葉を子どもにはまず覚えてもらいたいなと、いつも思っています。「お母さん」でもなく、「ママ」でも「パパ」でもなく、「いや」と言えたら、子どもはどんなに解放されるだろう、と。
子どもは抵抗できませんので、「いや」と言えずに、仕方なく抱っこされたり、仕方なく手をつながれたりしている。それが「いや」というひと言で拒否できるとわかったとき、子どもにとってその言葉はまさに魔法の言葉となるのではないでしょうか。(p.3)
なかなか「ノー」を言うことは難しい。同調圧力といってしまえばそれまでなのだけど、一度「ノー」と言ってしまうと、もうこれっきり、目の前の(社会的)世界から外され・追放されてしまうんじゃないかという不安がある。だから、「ノー」と言えることは、世界への信頼と自己評価の確立があると言える。