「不起訴」

承前*1

朝日新聞』の記事;


渋谷の児童養護施設長刺殺、元入所者の男性を不起訴
5/17(金) 23:34配信 朝日新聞デジタル


 東京都渋谷区の児童養護施設で2月、施設長の男性(46)が刺殺された事件で、東京地検は17日、殺人容疑で送検された元入所者の男性(23)を不起訴処分とし、発表した。理由は明らかにしていないが、鑑定留置の結果を踏まえ、刑事責任能力を問えないと判断した。

 元入所者の男性は2月25日、児童養護施設「若草寮」の施設長室内で、大森信也施設長の右胸などを刃物で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂容疑で警視庁に現行犯逮捕された。その後、殺人容疑で送検されたが、地検は刑事責任能力の有無を調べるための鑑定留置を裁判所に請求し、3月13日から5月13日まで実施していた。

 若草寮は6~18歳を入所対象とする児童養護施設。男性は2012年から3年間、この施設で暮らしていたといい、「施設に恨みがあった。殺すつもりで刺した。施設関係者なら誰でもよかった」などと供述していた。事件当時29人が入所していたが、児童らにけがはなかった。

 地検は同日、心神喪失者等医療観察法に基づく審判を東京地裁に申し立てた。同法では、検察官からの申し立てがあった場合、裁判官と、医師が務める精神保健審判員の各1人による審判によって入院や通院など処遇の要否が決定される。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190517-00000082-asahi-soci

この事件を最初に知ったとき、上の記事でも引用されている「施設に恨みがあった。殺すつもりで刺した。施設関係者なら誰でもよかった」という科白からも、「心神喪失」ということを想像することはできなかった。「恨み」があるから殺すというのは、取り敢えず筋が通っている。
このニュースを読んで、殺人犯が無罪放免なんてこえー! と思う人がいるかも知れない。しかし、一方では、この措置は人権の一つである裁判を受ける権利を剥奪されるということであり、自らの実存を賭けて遂行した筈の犯行を、たんなるご乱心に還元されてしまうことでもあるのだ。