バカッター以前?

日野瑛太郎「「バカが可視化される時代」とどう向き合うか」http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/08/06/205343


このエントリーが書かれた頃は、まだ「バカッター」という言葉*1はなかったようだ(或いは胎児状態?)。


多くの方はご存知だと思うが、一応経緯を書いておく。最近、飲食店の従業員(主にアルバイト)が冷蔵庫に入るとか食品の上に寝っ転がるとか、一言で言えば「バカな」悪ふざけをして、それをtwitter上で写真付きで暴露したために炎上、という流れが相次いでいる。店舗側の被害は甚大で、中には一時休業に追い込まれる店舗もあったそうだ。

この事件を、「最近の若者の倫理観破綻はひどい」と見るのはおそらく正しくない。こうやってなんでも最近の若者の問題に帰着させるのは簡単だが、それではその先には進まない。若者の中にこういった「バカな」悪ふざけをする人は昔から一定数いたはずで、別に今になってはじまったというわけではないだろう。たぶん、twitter登場以前から冷蔵庫に入ったり、食品で遊び、写真を取って喜んでいた従業員は同じぐらいいたはずだ。ただ、そういった写真は、昔は仲間内だけで共有されていた。これは想像だけど、たとえばmixiの非公開日記あたりには、この手の「仲間内の悪ふざけ」的な投稿が今も昔も山ほどあるのではないかと思う。

実態は今も昔も特に変わりがないのだけど、今までは隠されていて見えなかった部分がtwitterによって見えるようになってしまった。見えてしまった以上は、店舗も放置するわけにはいかない。そういう行為に及んだ従業員は適切に処罰しなければならないし、店舗も休業して消毒などの処置をしなければ、企業イメージが保てない。それでプレスリリースが出たりして、問題が大きくなっている。現象面だけたどると、こういうことになるのかなと思う。


ひとつの主張として、飲食店で悪ふざけをする店員は今も昔もいたのだから、それが見えるようになったからと言って特別騒ぎ立てるべきではない、というものが考えられる。低価格サービスの実態が明らかになったのだから、それは「そういうもの」と消費者が受け入れるべきだ、というような主張もネットのどこかで読んだ。

ただ、現実には見えてしまったものを無かったことにする、というのは難しい。世の中には、知らなければ対処しなくていいが、知ってしまった以上は対処しないとメンツが保てないということがたくさんある。飲食物を扱う企業が、この状況を開き直ってスルーするというのは現実的ではない。正直、企業側はスルーできるならスルーしたいと思っているだろうけど、日本のように建前を重視する社会で企業活動を行う以上、この手の開き直りは不可能だ。

そして、「教育」も「厳罰」も限界があることが指摘される。そして、結論として、「twitter(を含む炎上の危険があるソーシャルメディア全部)を免許制にする」という提案。誰が「免許」を発行するんだよ? という問題はともかくとして、「twitter登場以前」「仲間内だけで共有されていた」時代への逆戻りということになる。