One-time screening

承前*1

朽木誠一郎*2「公開中止映画「MMRワクチン告発」、配給元代表が謝罪 監督・プロデューサーは疑義に回答せず」https://www.buzzfeed.com/jp/seiichirokuchiki/wakefield-did-not-answer-about-vaxxed


曰く、


公開中止になったドキュメンタリー映画MMRワクチン告発』の「一度限りの上映会」が11月12日、開催された。

上映会冒頭、公開中止を決定した配給元のユナイテッドピープル株式会社代表・関根健次氏がスピーチし、「急きょ、配給会社の独断、単独の判断により公開を中止させていただき、関係者のみなさまには多大なご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。

さらに、「この映画が公開されることで、期待された方もいらっしゃれば、苦しい思いをされた方もいらっしゃると思います。ここにお詫び申し上げます」と続けた。上映後、関根氏が来場者から中止について質問を受ける場面もあった。

同作については、公開発表直後から、MMRワクチン(麻疹・おたふく風邪・風疹の混合ワクチン)と自閉症の発症を関連づける内容が批判されていた。そして公開直前、監督の主張に矛盾があるとして、日本の配給元が公開中止を決定していた*3

この上映会には、プロデューサーのデル・ビッグツリー氏が来場し、質問に答える予定としていたが、直前に来日がキャンセルに。また、関根氏から、監督のアンドリュー・ウェイクフィールド氏と連絡がつかないことが明かされた。


配給元の代表である関根氏は現在、どのような思いでいるのか。12日の上映会後、BuzzFeed Japan Medicalの取材に応じた。今、同氏が感じるのは、何よりも「自分のふがいなさ」だという。

「命に関わるワクチンの映画を扱うにあたり、自分が予想していたよりもはるかに知識が足りなかった。今回の公開中止は、それが招いたことです。なぜもっと早く、小児科医師などとファクトチェックができなかったのか」

ウェイクフィールド氏は過去に「子どもへのMMRワクチンの予防接種が自閉症の症状を引き起こす」という論文を発表するも、利益相反行為や、患者のデータ・病歴が大幅に書き換えられたり、捏造されたりしていた疑惑が発覚した。

同氏は医師免許を取り消され、論文が掲載された『ランセット』は論文を撤回している。日本での上映にも、医療関係者などから批判が集中していたことには、このような背景がある。

公開中止に際して、「医療の専門家でない立場で、難しい分野の映画を取り扱うにあたり、それなりのリサーチはしておりましたが、足りませんでした」と声明を発表していた関根氏。このような背景は「把握していた」という。

その上で、一度は上映に踏み切った理由として、この映画の主題はウェイクフィールド氏という人物ではなく、あくまでも「米国疾病対策センターMMRワクチンと自閉症の関連性を示すデータを隠蔽している」という内部告発であったため、公開に意義があると考えたと説明。

しかし、疑義に対するウェイクフィールド氏側の姿勢によって、その判断は揺らいだ。

「1000あるうちの1の要素かもしれませんが、それについての疑義に真摯に回答いただけなければ、残る999についても再度、検証の必要が生じます。公開までの短い期間でそれをするのは不可能と判断し、公開中止の決定をしました」

公開を中止にしたことで、ユナイテッドピープル社は経済的にも、また配給先の劇場などとの信用の面でも、大きな損害を受けたという。それでも決断に踏み切った理由を、関根氏は次のように語った。

「疑義が生じてからというもの、“誰のために、何のために映画を配給するのか”ーーそう自分に問いかけ続け、答えを出しました」