著者の言い分

承前*1

安藤健二「『エロマンガ表現史』 北海道で有害図書指定。なぜ書いたのか? 著者に聞いた。」https://www.huffingtonpost.jp/2018/04/18/eromanga-history_a_23413932/


稀見理都氏*2の著書『エロマンガ表現史』 *3が「北海道で有害図書指定された」件について。
先ず、北海道庁によると、「有害図書指定」した「審議会の議事録は非公開だという」。しかし、「著しく性的感情を刺激するものと判断」したので、「県庁が審議会で意見を求めた」ということ。最初から結論は決まっていた、「審議会」は県庁側の「判断」を追認したということも言えるだろう。
稀見理都氏曰く、


---発売時、国内のどこかの自治体で有害図書指定されることは想定していましたか?

全く想像していませんでした。


---現在、稀見さん自身は、今回の指定について現時点ではどのように考えていますか?

どういう経緯で、どういう理由で「有害」と見なされたのかがわからないと何とも言えない感じですね。


---北海道庁では「著しく性的感情を刺激するものと判断した」ようですが、この判断については、どう思いますか?

春画研究」や「医学書」と同じ意味合いだと感じていたので、そのへんとどう違うのかが気になります。


---成年向けコミックは、漫画研究の中でも、あまり語られることのない分野ですが、あえて単行本というかたちで出版したのはなぜでしょう?

特に「あえて」と思ったことはないです。語られてこなかったから、語ろうと思っただけですね。


---成年向け漫画のどんなところに、研究テーマとして魅力を感じていますか?

本の中にも書いていますが、性的な表現は「成人向けコミック」だけのジャンルではなく、どのマンガのジャンルにも付随している重要な部分であり、漫画研究を行う上では決して避ける事ができないジャンルだと考えています。

ところで、以前から思っていたことなのだけど、特に男性作家の描く「エロマンガ」というのは全然エロくない。石井隆はエロい方だと思うけれど、『天使のはらわた』*4とか、感動の対象は抒情性であって、エロに対して下半身がストレートに感動するというのとは違う。それはどうしてなのだろうと思っていたのだけど、一つには私が既に大人としてリアルな「エロ」を知ってしまっているということがある。だから、未成年者、特に童貞にとっては十分にエロいのかも知れない。もう一つは、男女の解剖学的な差異が関係しているのかも知れない*5
天使のはらわた 1 (コミックス)

天使のはらわた 1 (コミックス)

天使のはらわた 2 (コミックス)

天使のはらわた 2 (コミックス)

天使のはらわた 3 (コミックス)

天使のはらわた 3 (コミックス)