東京ではなく鹿児島

朝日新聞』の記事;


「大崎事件」再審認める 3度目の請求で 高裁支部
野崎智也2018年3月12日11時22分


 1979年に鹿児島県大崎町で男性(当時42)の遺体が見つかった「大崎事件」をめぐる3度目の再審請求で、福岡高裁宮崎支部は12日、殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(90)の再審を認めた。鹿児島地裁決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却した。

 事件では、原口さんと親族3人が殺人容疑などで逮捕された。原口さんは一貫して無罪を主張したが、共犯とされた3人の自白などをもとに有罪が確定。10年間服役した。

 第3次再審請求審では3人の自白や義妹の目撃証言の信用性などが争われた。

 鹿児島地裁は昨年6月、弁護団が提出した供述心理鑑定を踏まえ、「義妹は体験していないことを話している可能性が高い」と判断。知的障害があった3人の自白は、捜査機関の誘導などで供述が変遷したり虚偽の供述をしたりした疑いがあるとして、「共謀も殺害行為もなかった可能性を否定できない」と結論付け、再審開始を認めた。(野崎智也)
https://www.asahi.com/articles/ASL3753H7L37TLTB01B.html

「大崎事件」の弁護団事務局長の鴨志田祐美さんの「大崎事件から見える刑事司法の問題点〜憲法の理想と現実のギャップ〜」という記事*1を読むまで、「大崎事件」の存在そのものを知らなかった。東京都品川区だけじゃなくて鹿児島にも「大崎」って地名があるんだね! という感じ。
「共犯とされた」「親族3人」というのは、この原口アヤ子さんの夫、その弟及びその息子(原口さんにとっては甥に当たる)なのだが、ひとつの家族に「知的障害」がこんなに集中して現れるということがあるんだね、ということがひとつの驚き。また、これほどまで再審が困難を極めたひとつの原因は、この3人が「自白」を絶対に覆さなかったことなのだが、原口さんの義弟と甥は服役後に自殺しているというのも不気味。なお、警察や検察側が提示した死因も物的証拠が全くなく、鑑定を行った法医学者が後に鑑定の誤りを認め、撤回している。
See also


Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B4%8E%E4%BA%8B%E4%BB%B6
日本国民救援会「鹿児島・大崎事件」http://www.kyuenkai.org/index.php?%C2%E7%BA%EA%BB%F6%B7%EF
win-win*2「大崎事件まとめ【原口アヤ子さんらは冤罪なのか?】」https://matome.naver.jp/odai/2140539519066755001
ユーロの行方*3「『あ、り、が、と、う』…高裁が再審を認めた「大崎事件」とは?」https://matome.naver.jp/odai/2152090273242163001



「再審」とはいっても、警察や検察が裁かれる立場になるということはないのだろうけど、警察や検察が「知的障害」の3人を如何にして脅したり・賺したりして、「自白」に追い込んだのかというメカニズムの検証は必須であろう。
浜田寿美男『自白の心理学』を取り敢えずマークしておく。

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