本名は片仮名

GACKT江角マキコ布袋寅泰らとともに「投資詐欺」に引っかかったという報道が流れたのは昨年の秋のことだったか*1

さて、『音楽ナタリー』の記事;


GACKTが初めて本名を明かし、実業家として仮想通貨事業に取り組むことを発表
2017年12月27日 20:00 9731


GACKTが実業家・大城ガクトとして、仮想通貨の大型ICOプロジェクト「SPINDLE」に参画していることが明らかになった。彼が本名を明かすのはこれが初めて。

SPINDLEは金銀取引のオンラインサービスを提供するBullion JapanのCEOである平井政光が率いる、金融に特化したコンサルティング集団・Blackstar&Coが手がけるプロジェクト。SPINDLEに感銘を受けたGACKTは、コアメンバーとして立ち上げ当初から関わっていた。

12月26日にアメリカ・ニューヨークからアップしされたGACKTのオフィシャルブログのエントリーによると、仮想通貨を「インターネットの出現以上の、世界の最大成長産業」とし、世界から取り残されていく日本経済の落ち込みに危惧したGACKTが「唯一の手段として仮想通貨に着目し、多くの人に仮想通貨における投資の優位性に気づいてもらうために広告塔としてではなく、一事業者として本気で関わった」とのこと。

SPINDLEの公式サイト*2では大城ガクトのプロフィールが公開されており、「2012年にマレーシア・フィリピン・香港に移住し、事業投資を中心に多くのアジア諸国のビジネスシーンで活躍。現在は諸外国との政府・王族との親密な関係を築き、アジア諸国のブリッジストラテジスト・ビジネスインフルエンサーとして国内・海外の企業マーケティングを牽引している」というこれまで表に出ていなかった一面が明かされている。
https://natalie.mu/music/news/263127

以前から本名はそのまんまガクトっていうんだろうなと思っていたけど、まあそうだったわけだ。本名の羅馬字表記というのは一時のヴィジュアル系ミュージシャンの常道。YOSHIKIとか。驚いたのは漢字じゃなくて片仮名が本名だということか。
たしかに、そのblogエントリーでは熱く語られている*3。それについて論評することはしないけれど、「仮想通貨」というかビットコイン*4については、ちょっと考えていることがある。とはいっても、私が考えていることなので、下らないことではあるけれど。
先ず、ビットコインというのは貨幣としては或る種の先祖帰りでしょ? 最近よく考えていることは、世界の富裕層は米ドルにせよ日本円にせよ人民元にせよ、およそ法貨(legal tender)というものに既に見切りをつけているのではないかということ。最近、金塊というか金地金の取引も増えていて、それに絡んだ犯罪も増えているのでは?*5 金塊の密輸も増えているようで、空港では金塊密輸取締り強化中という税関当局のスローガンが躍っている。現代の貨幣(法貨)というのは貨幣の金からの解放を前提としている。それにも拘らずの金ブーム。ビットコインは一部ではdigital goldと呼ばれている。私も金属としての金以上に金的な貨幣じゃないかと思っている。岩井克人先生によれば、カール・マルクスは金の価値を労働価値説的に、金を採掘する労働のコストに還元してしまったという(『貨幣論*6)。ビットコインは言ってしまえば、労働価値説的というかマルクス主義的貨幣だといえる。何しろ、採掘のコスト(採掘に必要とされるコンピュータのための消費電力)が段階的に増加するように設計されているからだ。ただ違うのは、ビットコインではネックレスやアンクレットは作れないということか。当たり前だけど。
貨幣論 (ちくま学芸文庫)

貨幣論 (ちくま学芸文庫)