Attack on her brain

南麻理江「「脳に魔物が住みついた」 名もなき病を乗り越えた先に、女性記者が見つけた“生きる意味”」http://www.huffingtonpost.jp/2017/12/15/brain-on-fire_a_23309105/


難病「抗NMDA受容体脳炎*1を経験した米国のジャーナリスト、スザンナ・キャハランさん*2について。その難病体験を綴った著書が映画化された。


ニューヨークポストの記者として働くスザンナ・キャハランさんは、24歳だった2009年2月のある日、存在しないトコジラミへの恐怖に苛まれる感覚を覚えた。高い金額を払って自宅にプロの清掃をいれたが、無意味だった。それは、スザンナさんを襲った大きすぎる病の予兆でしかなかったのだ。

その後、理由もなく仕事への意欲が薄れ、ミスが続いた。取材相手に対して、自分でも予測不能な異常な態度を取った。オフィスでいきなり感情が崩壊してボロボロ涙を流したかと思えば、幸福の絶頂のように振る舞い、上司や同僚を不安にさせたこともあった。吐き気に襲われたり、奇声をあげたりするなど、身体も、感情も、記憶も、アイデンティティそのものが制御不能になった。それも、何の前触れもなく突然。


スザンナさんを襲ったのは『抗NMDA受容体脳炎』。細菌やウイルスから身体を守るはずの抗体が、間違って自分の脳を攻撃してしまう病気だ。映画『エクソシスト*3で描かれた、悪魔に取り憑かれた少女が、実はこの病気だったと今では言われている。長い間「精神病」や「悪魔憑き」として片付けられてきた症状が、2007年に急性脳炎の1つとして"発見"され、名前を与えられた、いわば新しい病だった。発症率は100万人に0.33人と言われている。

一度は絶望の淵に立たされたスザンナさんだが、両親や恋人のスティーヴンさんらの献身的なサポートで、治療とリハビリを乗り越え、約7カ月間の闘病生活を経て、職場であるニューヨークポストに復帰した。

「逆説的ではあるけれど、この病気のおかげで目的意識を持って生きることができるようになった。私の人生でそれまで欠けていた『生きる意味』を手に入れた」

スザンナさんはハフポスト日本版に、そう話した。

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本の中に『生きのびたことの罪』と題された章がある。

そこでは、スザンナさんが患った抗NMDA受容体自己免疫性脳炎を含む100種類以上の自己免疫疾患の患者のおよそ75%が女性であると綴られている。なぜ女性に多いのかは、謎のままだという。

「事実として女性がかかりやすい病気だということ、そしてそれはどんな病気であるかということを、ちゃんと知って欲しい。これまでこうした病気にかかった人の中には、女性だからといって"ヒステリー"と片付けられてしまった人がたくさんいたと思うんです。女性であるがゆえに軽んじられてきた人たちの声に、耳を傾けて、真剣に向き合わなきゃいけない。そう訴えかけたいです」

「主には、卵巣奇形腫を持つ女性に発症し、NMDA受容体抗体による自己免疫性のメカニズムによって辺縁系症状を来す疾患です」という記述をしているソースもある*4

「病気のことを、一人称で記事にしてみないか」上司の提案に、スザンナさんは「やります」と即答した。

最初に記事が掲載された直後、同じような免疫の病気にかかったと診断された人やその家族からの連絡が殺到した。

「あまりにも反響が大きくて、身が凍る思いでした。誰も耳を傾けてくれない中での痛みや苦難を抱えている人たちの話には、本当に圧倒されるばかりでした。それと同時に、私のやってることは正しかったんだという安堵感や、改めて謙虚な気持ちで伝えなければという思いを強く持ちました」

大きな反響を受けて「より本格的に取り組まなければ」と感じたスザンナさんは、自分の体験を本にまとめることにした。医師、家族、恋人などサポートしてくれた周囲の人たちに取材し、自分自身の体験を掘り起こして執筆した。また、自己免疫疾患の患者をサポートするNPOと協業し、病気の認知を広げたり、適切な治療を薦めたりすることにも力を入れはじめた。

さて、 日本でもお嬢様が「抗NMDA受容体脳炎」になった方のblogがあるようだ;


脳炎記録。 ー抗NMDA受容体脳炎に勝つ!!!ー』https://ameblo.jp/today86/


See also
Carole Cadwalladr*5 ”Susannah Cahalan: 'What I remember most vividly are the fear and anger'” https://www.theguardian.com/books/2013/jan/13/susannah-cahalan-brain-fire-interview