承前*1
- 作者: 成田龍一
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/07/04
- メディア: 文庫
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成田龍一『戦後史入門』に曰く、
勿論、これは「戦後史」だけでなく、「通史」においても言えるわけだ。
いままでの歴史の語り方は、すべてを日本人という「われわれ」のなかに閉じ込めてしまっています。つまり、歴史を窮屈に語ってきたのではないでしょうか。
私たちが学んできた歴史は、中心・中央の「われわれ」の戦後史であって、周縁の・他者の戦後史ということを考えたときに、その狭さが見えてくるということになります。「かれら」他者の歴史を考えることによって、歴史はもっともっと複雑で、もっともっと多様なものであるということがわかるでしょう。(p.164)
さて、
斎藤美奈子*2「サルでもわかる「アイヌ文化」の入門書を探してみた」『ちくま』556、pp.20-23
曰く、
私は勿論「続縄文時代」という言葉も「擦文時代」という言葉も知っている*4。自慢するわけじゃないけど。しかし、何時頃知ったのかは憶えていない。大人になってからということはたしかなのだけど。大学入試で社会科は日本史を選択していたのだけど、「続縄文」とか「擦文」といった用語を暗記したという記憶はない。高校のときに使用していた日本史の教科書は三省堂の家永三郎『新日本史』、つまり当時としてはいちばん左がかった教科書だったわけだけど、そこでも「続縄文」とか「擦文」といった用語を見た記憶はない。また当時は、受験生は山川出版社の日本史教科書を併読することも常道だったけれど、そこにもなかったんじゃないか。皆様方は何時頃「続縄文」とか「擦文」といった用語を知ったのだろうか。採用すると右翼やウヨから脅迫されるという学び舎の『ともに学ぶ人間の歴史』という中学校歴史教科書*5には記載されているのだろうか。
(前略)釧路市内の博物館でふと目に入った年表に、私は釘付けになったのだった。
学校で習う日本史の区分は、おおむねこんな感じである。
縄文時代→弥生時代→古墳時代→飛鳥時代→奈良時代→平安時代→鎌倉時代→室町時代→安土桃山時代→江戸時代→明治時代*3。
だが、北海道の歴史は弥生時代以降がまるでちがう。時代区分をざっと列挙してみよう(カッコ内はいわゆる日本史)。
縄文時代(縄文時代)→続縄文時代(弥生時代・古墳時代・飛鳥時代)→擦文時代(奈良時代・平安時代)→アイヌ文化時代(鎌倉時代・室町時代・安土桃山時代・江戸時代)→明治時代。
縄文には「続」があった! 「弥生」ではなく「擦文」があった? そんなの聞いてねえぞ、である(それとも私以外の人にはこんなの常識なのだろうか)。ともあれ、私たちが「日本史」として習った歴史は「本州・四国・九州の歴史」にすぎず、北海道の歴史は別物だったのだ(ついでにいえば沖縄の歴史もちがう)。知らず知らずのうちに刷り込まれていた単一民族史観、ないし大和朝廷史観。われながら、これは少々問題でないか?(p.20)
*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170803/1501732818
*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070120/1169274863 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090711/1247338782 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100718/1279470669 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101020/1287550198 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101117/1289989285 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110819/1313725242 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20120307/1331147389