Umayado or Shotoku?

朝日新聞』の記事;


聖徳太子、教科書で表記変更は妥当? 国会で論戦に

水沢健一

2017年3月10日08時47分


 「聖徳太子という表記をなくしたり、聖徳太子不在説に立ったりするものではない」――。学習指導要領の改訂案で「聖徳太子」の表記が変更されたことについて、9日の参院文教科学委員会で「問題だ」といった声が上がり、松野博一文部科学相が説明に追われる一幕があった。

 改訂案では、「聖徳太子」が、小学校では「聖徳太子厩戸王〈うまやどのおう〉)」、中学校では「厩戸王聖徳太子)」となっている。文科省によると、正しくは「厩戸王」で、没後100年くらい後の書物で「聖徳太子」と紹介されたという。中学校では正式名を先に出した。

 無所属クラブの松沢成文氏は同委で「極めてわかりにくい。聖徳太子の偉業を歴史のなかで教えていくのは連続性がなければいけない」と指摘。議論が足りないとして、今回の改訂では表記の変更を見送ることも求めた。松野文科相は「聖徳太子の業績に否定的な見解を持っているということでは全くない。古代史への理解をしっかり進めるにあたり、こういう形になった」と説明。そのうえで「パブリックコメントで広く意見をいただき、(3月中の公示までに)しっかり判断したい」と述べた。(水沢健一)
http://www.asahi.com/articles/ASK396257K39UTIL04T.html

聖徳太子福沢諭吉に取って代わられてから既に何年経つのやら。その意味では、若い人たちにとって、「聖徳太子」のリアリティはすごく薄くなったとはいえるだろう。
「不在説」というか非実在説については、やはり大山誠一『聖徳太子と日本人』*1をここでもマークしなければならないだろう。『神奈川新聞』によると、民進党笠浩史も「聖徳太子」を巡って、文部科学省にいちゃもんをつけていたのだった;

かっこ扱い批判 民進・笠氏が聖徳太子の表記に

カナロコ by 神奈川新聞 3/9(木) 9:00配信


 民進党笠浩史氏(衆院9区)は8日の衆院文部科学委員会で、文部科学省が次期学習指導要領改定案で「聖徳太子」の表記を「厩戸王(うまやどのおう)(聖徳太子)」と変更したことについて、「聖徳太子は歴史上最も重要な人物の一人。かっこ扱いにするのは歴史に対する冒涜ぼうとく)でもある」と批判した。

 「聖徳太子」は没後に使われるようになった呼称で、歴史学では一般的に「厩戸王」と呼ぶことから、改定案で中学校の歴史用語を変更している。

 笠氏は、聖徳太子について「冠位十二階や十七条憲法などわが国の統治の基本をつくった。『和をもって貴しとなす』日本人の精神の支え」と説明。その上で「必ず見直してください。かっこ扱いするようなことは絶対にしないで」と訴えた。

 これに対し、松野博一文科相は「改定案はパブリックコメントで国民の意見を聴いている最中。私の責任において公示したい」と答弁。笠氏は「必ずかっこ扱いしない、きちんと聖徳太子を教えていくと約束していただいたと受け止めた」と述べ、質問を締めくくった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170309-00016259-kana-l14

松沢にしても笠にしても、神奈川人の「聖徳太子」への思い入れということで考察される必要があるだろう。
ところで、「聖徳太子」を「厩戸王」にするなら、同時代の義母に当たる推古天皇はどうなるのか。というか、記紀編纂以前に在位した天皇の唐風諡号はどれも「聖徳太子」と同様な扱いを受けるべきなのでは?