文字の戦後レジーム問題?

承前*1

朝日新聞』の記事;


安倍首相、「訂正でんでん」と誤読? 参院代表質問答弁

2017年1月25日21時45分

 「訂正云々(うんぬん)」を「訂正でんでん」と誤読?――。安倍晋三首相が24日の参院代表質問で、民進党蓮舫代表の質問に対し、「訂正でんでんというご指摘はまったく当たりません」と答えたことが、インターネット上で話題となっている。

 24日の代表質問では、首相が施政方針演説で「ただ批判に明け暮れたり、言論の府である国会の中でプラカードを掲げても何も生まれない」と述べたことに対し、蓮舫氏が「まるで我々がずっと批判に明け暮れているとの言い方は訂正してください」と問いただした。

 これに対して、首相は「民進党の皆さんだとは一言も言っていないわけで、自らに思い当たる節がなければ、ただ聞いていただければ良いんだろうと思うわけで、訂正でんでんという指摘は全く当たらない」と答えた。

 一連のやりとりについて、ネット上では「首相が云云(うんぬん)を伝伝(でんでん)と誤読?」「訂正でんでん」などの書き込みが相次いだ。官邸幹部は「『云々』と『伝々』はよく似ている」として誤読だったことを認めた。
http://www.asahi.com/articles/ASK1T62CZK1TUTFK00S.html

先ず「伝々」という語彙を収録する国語辞典はあるのだろうか。管見の限り知らない、というか余の辞書に伝々の字はない( 伝々 n'est pas Japonais)。ところで、「伝」に含まれる「云」だけど、これはウンという音符ではない。「伝」は正しくは傳と書く。戦後正字が抑圧され、日式簡体字が強制される中で、傳は「伝」になった*2。運転の轉も同様。「云々」と「伝々」を混同したというのが本当なら、安倍晋三も〈文字における戦後レジーム〉の犠牲者だということになる。これを機に、日式簡体字を廃止して正字復権させてほしいものだ。因みに、中国大陸(及び新嘉坡)では「云」は雲の簡体字
「伝々」という語彙は国語辞典にはないけど、「でんでん」ということで辞書に載っているのは、太鼓を叩く擬音としてではないか。でんでん太鼓というのもあるし*3。本名緒方義博の俳優*4を想起するという人も多いと思う。虫がつけば、でんでんむし(蝸牛)。でも、PCでdendenと入力して最初に出てくる変換候補は「電電」なのだった。NTTが民営化される前は電電公社と呼ばれていた。また、KDDIは国際電電。
See also


「安倍首相「でんでん」発言トレンド入り そういえば麻生元首相も...」http://www.j-cast.com/2017/01/25288920.html?p=all
spaceage「安倍総理が発言した「訂正でんでん」とは?そこから色んなものを連想する人が続出」https://matome.naver.jp/odai/2148539299373672001
lessthanpanda*5流行語大賞候補!? 安倍首相「云々」読めず「でんでん」と発言、ネット騒然」https://matome.naver.jp/odai/2148527366312927001
リテラ編集部「安倍首相が国会答弁で「云々」を「でんでん」と読み大恥! 他にも中学生並みの言い間違い連発、その理由とは?」http://lite-ra.com/2017/01/post-2875.html


流行語大賞」ということだけど、その「流行語大賞」を巡って身の程知らずに俵万智さんを攻撃した百田尚樹*6の感想や如何に? まあ安倍晋三が日本語を愛していると考える人は殆どいないだろう。