『朝日新聞』の記事；
これは〈記事〉に見せかけた「大英自然史博物館展」の宣伝。”Piltdown Man”で英語のソースを検索すればすぐにわかることだが、「ピルトダウン人」捏造事件*1がチャールズ・ドーソンの単独犯だということが報道されて、英語圏における世論がちょっと盛り上がったのは８月のこと。それを10月になって、あたかも新聞であるかのように騒ぐのは、本来一日（jour）単位で仕事をすべきジャーナリズムとしては遅すぎ。既に旧聞だよ。
科学史上最悪の捏造事件、真犯人は… 英博物館が特定神田明美
2016年10月19日21時02分
サルからヒトへ進化した証拠の人類化石として約１００年前に英国で発表され、約４０年後に偽造の骨とわかった「ピルトダウン人事件」の真犯人を大英自然史博物館などが特定した。同博物館の学芸員による捏造（ねつぞう）とされてきたが、「発見者」のアマチュア考古学者が犯人だったという。ピルトダウン人とされた骨について国立科学博物館（東京）は１９日、来年３月１８日に始まる「大英自然史博物館展」で展示すると発表した。国内初展示となる。
ピルトダウン人事件は、科学史上最悪の捏造と言われる。英ピルトダウン地方で化石を発掘したとして、アマチュア考古学者のチャールズ・ドーソン氏が１９１２年、大英博物館自然史部門（現大英自然史博物館）へ持ち込み、類人猿と人類の間にいたピルトダウン人の頭やあごとされた。
だが、その後の分析で、頭はヒト、あごはオランウータンの骨と５３年に判明。ドーソン氏はすでに死亡しており、犯人は諸説出た。探偵小説シャーロック・ホームズシリーズの作者で作家のコナン・ドイル氏も疑われた。９６年、大英自然史博物館の学芸員が犯人と発表された。
英国王立協会の論文誌に掲載された同博物館などの研究では、ＣＴ（コンピューター断層撮影装置）などで詳細に解析。約８年間にわたり発掘された骨の加工方法が同様で、すべてに関与できたのはドーソン氏だけだったという。
篠田謙一・国立科学博物館人類研究部長は「偽物とわかった後も捨てずに、真犯人を探した負の標本。門外不出だった貴重なものだ」としている。（神田明美）
http://www.asahi.com/articles/ASJBM23NWJBMULBJ001.html
８月の時点での英語圏の報道を幾つかマークしておく；
Sarah Kaplan “We finally know who forged Piltdown Man, one of science’s most notorious hoaxes” https://www.washingtonpost.com/news/speaking-of-science/wp/2016/08/11/we-finally-know-who-forged-piltdown-man-one-of-sciences-most-notorious-hoaxes/
Richard Gray “The mystery of Piltdown Man is solved: Charles Dawson, who found the fake human 'fossil', was probably behind the hoax” http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3731455/The-mystery-Piltdown-Man-solved-Charles-Dawson-fake-human-fossil-probably-hoax.html
Sarah Knapton “Sir Arthur Conan Doyle cleared of Piltdown Man hoax” http://www.telegraph.co.uk/science/2016/08/10/sir-arthur-conan-doyle-cleared-of-piltdown-man-hoax/
