或る生存確認

99藝術網「”物派”領軍李禹煥假画事件始末:風波該譲誰買単」http://culture.ifeng.com/a/20160711/49332163_0.shtml


韓国ソウルの警察当局は、2012年から13年にかけてアーティストの李禹煥*1の「偽作」が多く流通していたという情報を2015年に掴み、作品偽造と流通の廉でHyeonなる画商を指名手配した。2015年4月にHyeonは逃亡先の日本で逮捕され、韓国側に引き渡された。韓国の警察当局は、司法鑑定と第三者機関の鑑定を経て、13点が捏造されたと結論を下した。その中には、4.9億ヲンで落札されたものもある。今年6月に初公判が開かれたが、その際、被告のHyeonは罪を認め、京畿南道楊州市のアトリエで1人の助手とともに50点以上の贋作を行い、主に日本のコレクターやブローカーに売り捌いていたことを告白した。ところが、6月28日になって、李禹煥氏本人が贋作と鑑定された13点は全てかつて自らが描いた本物であると主張し始め、事件は振出しに戻ってしまった。李氏によると、1970年代の後半は月に30〜40点のペースで濫作しており、署名し忘れた作品も中にはあったという。
この記事を読んで、吃驚し且つ嬉しかったことは、今年は例年になく重要人物の訃報が目立っているという印象があるけど、李禹煥氏が80歳でご存命であり、韓国社会をトリックスター的に引っ掻き回しているということだ。
李禹煥氏については、『ディアスポラ紀行』の中で徐京植が屈折したコメントを寄せている(pp.118-119)。ところで、30年以上も前に駿河台の某古本屋のワゴンで李氏の『出会いを求めて』を買ったのだが、それがかなりいい値段で取引されていることを知り、それも吃驚。