鯉と犬

朝日新聞』の記事;


ニシキゴイ20匹殺傷、少年ら逮捕 器物損壊容疑 福岡

倉富竜太、鈴木峻

2016年6月24日02時29分


 ニシキゴイを金属棒で突き刺して殺したり傷つけたりしたとして、福岡県警は同県久留米市の無職少年(16)ら少年3人を器物損壊の疑いで逮捕し、23日発表した。「面白半分でやった」などといずれも容疑を認めているという。

 ほかに逮捕されたのは、同市の高校生(17)と土木作業員(17)。

 久留米署によると、3人の逮捕容疑は、17日午前4時45分〜5時ごろまでの間、同市野中町の温泉施設の池で、男性経営者(61)が飼っていたニシキゴイ20匹(計4万円相当)を金属の棒で突き刺すなどしたというもの。3匹が死に、17匹が傷ついた。

 騒ぎに気づいた施設職員が駆けつけて事件が発覚。施設の防犯カメラにはコイを傷つける様子が映っており、少年らの関与が浮上したという。(倉富竜太、鈴木峻)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6S01H0J6RTIPE03X.html

少なくとも俺よりも上の世代だと、錦鯉には田中角栄を連合させるよう条件づけられているのではないだろうか。どうしても、錦鯉からは阿漕な大金持ちをイメージしてしまうのだ。だから、上の事件も貧富の格差とそれに起因するルサンティマンが背景にあるのかと思ってしまった。勿論そんなことは(少なくとも記事からは)わかりっこないけれど。まあ、猫虐待を18世紀仏蘭西の職人におけるブルジョワジープロレタリアートへの分岐と絡めて論じたロバート・ダーントンの『猫の大虐殺』というのもあったしね*1。「男性経営者」に対する怨恨もなく、ただ「 面白半分でやった」としたら、却って恐ろしい感じもする。最近は、動物虐待の(対人的な)凶悪犯罪の前兆としての意味が注目されているのではなかったか。
猫の大虐殺 (同時代ライブラリー)

猫の大虐殺 (同時代ライブラリー)

同じ福岡県でも福岡市東区

九電役員宅に犬の切断された死骸 福岡県警が捜査

2016年6月23日13時27分


 福岡市東区にある九州電力役員の60代男性宅に22日、切断された犬の死骸が置かれていたことが、福岡県警への取材で分かった。県警は嫌がらせとみて、動物愛護法違反などの疑いで捜査を始めた。

 東署によると、22日午前6時35分ごろ、男性の家族が敷地内で切断された犬の死骸を見つけ、近くの交番に届け出た。犬は男性宅の飼い犬ではないという。

 署は、男性の周辺にトラブルがなかったか調べている。
http://www.asahi.com/articles/ASJ6R436QJ6RTIPE00C.html

死んだ犬を放り込むというのはかなり伝統的な嫌がらせの仕方だったと思う。でも、東京附近でしかも左翼界をちょっとでも知った人にとって真っ先に記憶が喚起されるのはカクマルだろう。杉並区で中核派の支持者の家に犬の死骸を放り込んだというのは、左翼圏内においてはそれなりに有名な話だ。但し、ただ過去の記憶が喚起されるというだけで、今回の福岡市の事件にカクマルが関係しているといいたいわけじゃない。記事を読む限り、その「嫌がらせ」の動機もわかっていない。ネットでは、「九州電力」ということで、原発絡みだと断定する意見もけっこう見かけたが、勇み足の感は免れない。
犬の虐殺ということに関しては、けっこうありそうな話だねと思った。私も犬を飼っていたとき、嫌がらせの電話が何度かかかってきたことがあったが、犬が嫌いだという人はけっこう多いんじゃないか。また、犬は猫と比べて敏捷さに欠き、捕まりやすい。

*1:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080121/1200860042 See eg. 大屋雄裕「さらに縛り首」http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000079.html 「【205冊目】ロバート・ダーントン「猫の大虐殺」」http://hachiro86.hatenablog.com/entry/20070826/p1 「「猫の大虐殺」 ロバート・ダーントン」http://blog.goo.ne.jp/curonyanko/e/e4441baf21420a6e39b2d34203e8985f