『朝日新聞』の記事;
「暴行」というと、殴るとか蹴るとか、目的意識的に痛めつけるというイメージがあるけれど、子どもを揺するのに力が入りすぎて、結果として「傷害」ということになったということだろうか。最近、赤ん坊を揺すって脳にダメージを与えてしまうということはちょくちょく報道されているようにも思うけれど(というか、この23歳の父親が起こしたような事故というか事件を聞いたのは初めてではない)、以前はあまり問題になっていなかったのではないか。松田道雄『定本 育児の百科(上)』*1には、まだ首の座らない赤ん坊を「激しく揺さぶる」ことに関する言及は全くないのだった。
3カ月の長男に暴行の疑い、父親逮捕 左半身にまひ残る2016年6月8日18時53分
生後3カ月の長男に暴行を加えたとして、大阪府警は8日、大阪市東住吉区公園南矢田1丁目のアルバイト中橋拳士朗(けんしろう)容疑者(23)を傷害の疑いで逮捕し、発表した。「暴力はふるっていない」と容疑を否認しているという。長男は意識不明のまま病院に搬送され、約3週間入院。意識は戻ったが、いまも左半身のまひが残り、保護施設でリハビリを続けているという。捜査1課によると、中橋容疑者は昨年11月11日午後10時〜同11時40分ごろ、自宅で長男に暴行を加え、脳に急性硬膜下血腫などのけがを負わせた疑いがある。
中橋容疑者は妻(23)と長男の3人暮らし。中橋容疑者と妻の府警への説明では、中橋容疑者は同日午後10時半ごろから長男と入浴。午後10時ごろに外出した妻は2人の入浴直前に帰宅し、午後11時40分ごろ、ぐったりしている長男を見て、「子どもがけいれんしている」と119番通報した。中橋容疑者は「一緒にシャワーを浴びていたら長男が動かなくなった」と話しているという。
一方府警は、同日午後9時ごろに授乳した際に長男に異常がなかったと妻が話していることや、「外傷がないのに脳に広範囲の損傷がある」といった複数の医師の所見などから、中橋容疑者が長男を激しく揺さぶるなどした可能性があると判断した。近所の70代女性は昨秋、中橋容疑者が自宅ベランダで泣いている子どもを抱いてあやしている姿を見かけたという。「優しそうで、事件を起こすような人には見えなかった」と驚いた様子で話した。
http://www.asahi.com/articles/ASJ685DVQJ68PTIL021.html
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たしかに、生後2か月くらいの子どもはまだ「寝返りを打て」ない。意図的ではないにせよ、親が一緒に寝ていた場合、親の寝相の悪さの関係で、知らず知らずのうちに、子どもを「ヒーター」の傍に押しやっていたという可能性はあるのではないか。まあ、この時期の赤ん坊に関しては、親が添い寝するよりも、檻のようなベビー・ベッドに寝かせるのが吉だとはいえるだろう。
乳児に大やけど負わせた疑い 19歳の男女逮捕 福岡稲垣千駿
2016年6月13日13時15分
暖房器具で生後55日の男児に重いやけどを負わせたとして、福岡県警は13日、母親の無職少女(19)=福岡県春日市=と会社員の少年(19)=同県飯塚市=を傷害の疑いで逮捕し、発表した。いずれも「泣き声で目が覚めると子どもがヒーターの近くにいた」「自分はやっていない」などと容疑を否認しているという。
少年課によると、2人は4月13日午前5時半ごろ、少年の自宅アパートで、男児の右足太ももなどに電気ヒーターの送風口を接触させるなどし、半年〜1年の重傷を負わせた疑い。2人は交際中で、当時は同居していた。県警は少年が男児の父親とみている。
少女が「赤ちゃんがやけどした」と119番通報し、同日午前6時ごろ病院に搬送された。病院側が虐待を疑い、県警に通報した。ヒーターは男児の布団から45センチの場所にあった。乳児は生後4カ月ぐらいから寝返りを打てるようになるといい、県警は男児が自力でヒーターの間近に近づくことは困難で、虐待の疑いがあると判断した。(稲垣千駿)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6F3W97J6FTIPE01H.html
ところで、「4月13日」の福岡県飯塚市って、暖房を入れなければいけないほど寒かったのか。