不適切無教育

最近「大学でも、刑務所留学というか、自らの服役経験について所定の分量のレポートを提出すれば、刑事政策や犯罪社会学の単位を認定します、というところがあってもいいと思う」と書いたのだった*1。マジでこういうことを考えている奴もいるんだね。しかも「所定の分量のレポート」も課さずに。
朝日新聞』の記事;


USJ行きお釣り計算「数学」 三重の高校、不適切教育

高浜行人、燧正典

2016年3月1日21時23分

 国の就学支援金を不正に受給していた疑いがある株式会社立ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)について、文部科学省は2日にも、監督する三重県伊賀市に対し、生徒の新規募集を見直させるよう求める通知を出す。登校中のバス内で映画を鑑賞しただけで英語と国語の授業を受けたことにするなど、不適切な教育内容があったという。

 同校には通信制課程があり、生徒は一定時間本校に通って対面の授業を受けることが、学習指導要領で定められている。

 伊賀市文科省によると、同校は昨年、全国各地から生徒をバスなどを使って本校に登校させた。その際にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪)に寄り、使ったお金の釣り銭を計算させ、これを数学の授業としたという。ほかにも、神戸で美しい夜景を観賞して芸術の授業。レストランでご飯を食べて家庭科。伊賀市の最寄りの駅から本校まで2キロほど歩いて体育など。

 文科省は対面授業を受けたことにならないとしている。

 伊賀市は通知を受け、同校に対し、約1200人の在籍生徒の一部に授業のやり直しをすることも併せて求める方針だ。(高浜行人、燧正典)
http://www.asahi.com/articles/ASJ315D7ZJ31UTIL03M.html

「国の就学支援金を不正に受給していた疑い」については、例えば、


sonagis*2「「ウィッツ青山学園高校」が就学支援金を不正受給したとされる事件 「入学金は奨学金目的」」http://matome.naver.jp/odai/2144968948590039401


を参照されたい。また、『週刊朝日』の記事を読むと*3、この「不適切教育」というか無教育*4は「ウィッツ青山学園高校」*5の「ビジネスモデル」と密接に関連していることがわかる。
さて、この「ウィッツ青山学園高校」はどっかの政治家と癒着しているんじゃないか。そういうことは『赤旗』が追究している*6。「ウィッツ青山学園高校」の創業者である森本一氏は下村博文*7の後援会「全国博友会」の会長。ただ、「ウィッツ青山学園高校」の運営主体である「ウィッツ」は2007年以降「東理ホールディングス*8の子会社になっている*9。この時点で、創業者は株式を売却したと考えられるわけで、今回の「不正」に対する森本氏の何らかの責任を追及するには、株式売却以降も彼が学校経営に何らかの仕方でコミットしている、或いは学校経営に影響力を及ぼしていることを示さなければならないだろう。下村は「ウィッツ」も加盟している「学校設置会社連盟」(後に「新しい学校の会」と改称)の「顧問」なので、これに対してコメントする責任はあろう。また、下村が何らかの見解を出さないと困るのは、他の「株式会社立」学校なのではないか。こうした低所得者への「就学支援金」や「奨学金」を主な収入源とするという「ビジネスモデル」はあくまでも「ウィッツ青山学園高校」特有のものなのか、それとも「株式会社立」学校においてはかなり一般的なものなのか。