Retractions

毎日新聞』の記事;


<小保方氏ら4人論文>英科学誌が撤回 共著者3人申し出

毎日新聞 2月27日(土)11時29分配信



 ◇「ネイチャー・プロトコルズ」 11年に報告

 英科学誌「ネイチャー・プロトコルズ」は、元理化学研究所研究員の小保方晴子氏(32)らが2011年に報告した論文を、1月13日付で撤回したと発表した。責任著者で日本再生医療学会前理事長の岡野光夫・東京女子医大特任教授ら、小保方氏以外の共著者3人が撤回を申し出たという。同誌は「小保方氏にコメントを求めようとしたが連絡がつかなかった」としている。

 論文は再生医療に用いる細胞シートの性能に関する内容で、STAP細胞とは関係がない。筆頭著者は小保方氏で、共著者は岡野氏と大和雅之・東京女子医大先端生命医科学研究所長、常田聡・早大教授。

 発表によると、論文内の二つの図が酷似しているなど複数の問題があり、共著者3人が、図の元データを確認できず、結果に確信が持てないとして撤回を申し出たという。この論文に関しては、STAP論文問題が発生した14年から、インターネット上で疑義が指摘されていた。【須田桃子】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160227-00000027-mai-sctch

問題となった論文は、


“Reproducible subcutaneous transplantation of cell sheets into recipient mice” http://www.nature.com/nprot/journal/v6/n7/full/nprot.2011.356.html


「撤回」声明は、


“Retraction: Reproducible subcutaneous transplantation of cell sheets into recipient mice” http://www.nature.com/nprot/journal/v11/n3/full/nprot0316-616a.html


本文に曰く、


Masayuki Yamato, Satoshi Tsuneda and Teruo Okano would like to retract this protocol after concerns were raised by the community about some of the figures. Specifically, concerns were raised that the fourth graph in Figure 5a and the first graph in Figure 5b look very similar, and some of the error bars look unevenly positioned. Masayuki Yamato, Satoshi Tsuneda and Teruo Okano have been unable to locate some of the raw data to verify these figures and are no longer confident in the paper's results. Given that these results are key to demonstrating the reliability and reproducibility of the protocol, these authors wish to retract the protocol, and they sincerely apologize for the adverse consequences that may have resulted from its publication. Haruko Obokata could not be reached by the journal for comment on the retraction.
この声明の著者は『ネイチャー・プロトコルズ』の編集部ということになるのだろうか。最初のセンテンスの主語にHaruko Obokataの名前がないことが注目される。は『ネイチャー・プロトコルズ』の編集部も彼女とは連絡がつかない。この「撤回」が決まった頃というのは、ちょうどあの『あの日』 *1の最終校正が上がるか上がらないかという感じの時期だったのでは? この論文の共著者はみんな彼女の師匠筋に当たる。常田聡は博士論文の主査で、一緒に「停職」処分を食らった仲である*2。彼女は師匠筋にまで捨てられたという思いを強くするのではないか。
さて、問題のグラフであるが、誰が作成したのかはわからない。論文には、共著者の役割分担として、

Contributions

H.O. designed and conducted the experiments, analyzed the data and wrote the paper. M.Y. designed experiments, analyzed data and wrote the paper. S.T. and T.O. supervised the project.

と書かれている。これによると、実質的な著者は小保方晴子と大和雅之の2人である。「データを分析した」大和の方がグラフの作成には深く関与している気はするのだけど、確かなことは全くいえない。因みに、彼はグラフと「生データ」との関係はわからないよと言っている主語のひとりである。
この『ネイチャー・プロトコルズ』論文「撤回」の前座の如く発信された記事があった。
『朝日』の記事;

熊本大医学部、論文に不正と発表 掲載のグラフ「捏造」

河原一郎

2016年2月26日21時09分


 熊本大学は26日、医学部付属病院の男性助教らが2005年に発表した低血圧症に関する論文に使われたグラフが、男性助教が共同筆者だった別の論文に掲載されたグラフとほぼ同じ形状だったとして、捏造(ねつぞう)と認定したと発表した。掲載した学術雑誌には取り下げの手続きをとったという。

 熊本大によると、捏造と認定したのは、ラットに試薬を与えて血圧や血中の生成物の変化を示した折れ線グラフ2種類。それぞれ02年と05年に別の雑誌に掲載されたものと形がほぼ同じだったという。

 大学の調査に対し、男性助教は「なぜ同じものを掲載したのか分からない」と話し、グラフの執筆を担当した共同筆者は調査に応じず、現在は連絡がつかないという。(河原一郎)
http://www.asahi.com/articles/ASJ2V5WCBJ2VTLVB023.html

こちらの方は関わった研究者の実名も「学術雑誌」の名前も明らかではないが、問題の共著者が「調査に応じず、現在は連絡がつかない」ということは共通している。