
- 作者: 若松英輔
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/11/20
- メディア: 単行本
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若松英輔『生きる哲学』*1第7章「待つ リルケと詩が生まれるとき」から。
『ドゥイノの悲歌』*2を巡って;
『ドゥイノの悲歌』は、完成までに十年の歳月を要した。一九一二年に書き始められ、二二年に終えられた。彼は詩を書こうとしたのではない。突然、言葉が訪れたのである。その到来に抗うことはできなかった。彼にとって詩作とは、壮年を語る言葉を探すことではなかった。言葉の到来をひたすら待つことだった。彼の創造は、書くことにではなく、待つことのなかにあった。詩人は、どんな作品が出来上がるのかを自分でも知らない。実感から言えば彼は、詩の作者であるより記録者だった。彼の秘密は、書くことよりも沈黙にあった。別な言い方をすれば、十年に準じる沈黙が、この詩を生んだ。リルケもまた、東洋の哲人と同様、聴く者だった。(p.133)

- 作者: リルケ,手塚富雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/01/16
- メディア: 文庫
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(前略)若き遠藤が、師である哲学者吉満義彦(一九〇四〜一九四五)*4の紹介で堀辰雄に会い、その縁で堀の親友である神西清*5とつながり、文壇的処女作「神々と神と」を書く。そこで遠藤が最初に語り始めたのはリルケであり、『ドゥイノの悲歌』だった。(p.135)
*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20151231/1451538519
*2:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110217/1297882488
*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061029/1162141462 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061226/1167151875 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090707/1246991603 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130130/1359564568 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130515/1368634116 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150202/1422851433 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160104/1451885260 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20160206/1454729734
*4:See eg. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E6%BA%80%E7%BE%A9%E5%BD%A6 若松英輔「吉満義彦」http://www.keio-up.co.jp/kup/sp/izutsu/doc/x9y3.html 寳田辰巳「吉満義彦と徳之島」http://www.tokunoshima-town.org/shakaikyoikuka/kurashi/kyoiku/bunka/kyodoshiryo/museum/ayumi/documents/senjin023.pdf
*5:See eg. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E8%A5%BF%E6%B8%85 「未来を目指し、完全主義に生きた文人学者=神西 清」http://www2s.biglobe.ne.jp/~matu-emk/jinzaik.htm