「ストレスを解消するため」

朝日新聞』の記事;

祖母殺害容疑で高2男子生徒を逮捕 「誰でもよかった」

2015年12月28日00時58分

 祖父母を殺した、と少年が千葉県警君津署に自首し、君津市の住宅から男女の遺体が見つかった事件で、県警は27日、祖母(64)を殺害したとして、君津市の県立高校2年の男子生徒(17)を殺人容疑で逮捕し、発表した。「学校でのストレスを解消するため、人を殺すことを思いついた。誰でもよかった」と話しているという。


 県警によると、逮捕容疑は、23日早朝、祖父母宅で祖母の頭を刃物で刺すなどして殺害したというもの。祖母は2階の部屋の床にうつぶせの状態で見つかり、頭に複数の傷があった。2階には血のついたナイフとつるはしがあり、県警は凶器とみている。

 祖父(67)は1階の玄関近くの部屋で、仰向けの状態で見つかった。頭頂部に刺し傷や鈍器で何度もたたかれたような痕があった。1階からは血のついた金づちが見つかった。ともにパジャマ姿だったが、布団からは出ていた。

 男子生徒は26日午後6時15分ごろ、「おじいちゃん、おばあちゃんを殺した」と署に自首してきたといい、県警は、男子生徒が祖父も殺した可能性があるとみて調べている。

 男子生徒は調べに対し「学校で友達関係でうまくいかず、ストレスがたまっていた。祖父母に恨みはなかった」と供述。自首については「人を殺せば必ず捕まると思った」と話しているという。

 男子生徒は、祖父母宅とは数百メートル離れた市内で母親と2人暮らし。祖父母宅に時折、出入りしていたという。


■教頭「トラブル聞いたことない」

 祖母を殺害した疑いで逮捕された千葉県君津市の男子高校生(17)は、学校やバイト先では「おとなしく、きちんとした生徒」と見られていた。

 「すごくおっとりした子で、自分のことはほとんど話さない。悩んでいても誰も気付かなかったと思う」

 男子生徒と同じ高校に通う女子生徒は27日夜、取材にこう話した。休み時間には男友達と遊ぶ姿も見たことがあるが、一人で携帯を触ったりしていたことが多かったという。

 男子生徒が通う県立高校の教頭は、報道陣の取材に応じ「学校でトラブルやいじめは聞いたことがない。突然のことで驚いている」と話した。9月の担任との二者面談でも悩みの相談はなかったという。教頭によると、男子生徒は学校を休むことはなく、22日の終業式にも出席していた。「口数は多くないが、授業はちゃんと受けていた。遅刻や早退もなかったと思う」と話した。

 男子生徒は5月から君津市内のホームセンターでアルバイトを始めた。高校には「家計を助けるため」と伝え、許可を得ていたという。

 この店によると、男子生徒は土日と平日2日ほどシフトに入っており、最後の勤務は21日だった。23日も勤務予定だったが、事前に「体調が悪い」という理由で欠勤を連絡してきたという。男性社員は「いたって普通の子で、受け答えもきちんとしていた」と話した。
http://www.asahi.com/articles/ASHDW0H9KHDVUDCB00J.html

例えばあの、名古屋大学の女子学生*1と違って、「学校でのストレスを解消するため」という動機は表明している。しかし、今与えられている情報に基づく限り、その動機に納得する人は少ないのではないか。このニュースを聞いて、気持ち悪く思う、さらには寒気さえ覚えるのには2つの理由があるだろう。学校側は「学校でトラブルやいじめは聞いたことがない」と言っているが、それだけではなく、記事からは、父親の不在ということがさりげなく読み取れるものの、本人の問題行動は勿論のこと、貧困とか虐待といった問題、さらには親や祖父母との世代的な断絶も浮かび上がってこない。悪い奴が悪いことをした、或いは今いったような背景において悪事に追い込まれたということなら、私たちの知性や道徳心に対する負荷は軽く、お手軽に時事ネタとして消費することができる。それから、異様な静けさだろう。つまり、この高校生が取り乱したということが伝わってこない。クールに人を殺し、クールに自首しているという感じ。以前にも記したが、他人に対して暴力を行使し、殺すということそれ自体がきわめてストレスフルなことであり*2、それは通常はそのストレスを吹き飛ばすための、強い怒りやルサンティマン、或いは強力なイデオロギー的バイアスが存在すると推定させる所以なのだ。
「学校でのストレス」ということで考えられるのは「おとなしく、きちんとした生徒」という役割期待。しかし、あくまでも憶測にすぎない。