デリーに負けて

朝日新聞』の記事;


北京の大気汚染、初の最高レベル「赤色警報」 車を制限

北京=林望

2015年12月7日22時02分


 中国・北京市は7日、微小粒子状物質PM2・5などによる深刻な大気汚染が8日から10日まで続くとして、初めて最高レベルの「赤色警報」を出した。車両の半分が走れなくなるほか、市教委は小中学校などの休校を指示。市民生活への影響が広がりそうだ。

 同市は3月、大気汚染への応急対策を定め、4段階の警報レベルごとに政府や市民、企業などの対応を決めた。深刻な汚染が3日以上続くという赤色警報が出るのは初めて。

 市全域で交通規制が行われ、偶数日は偶数ナンバー、奇数日は奇数ナンバーしか走れなくなる。市教委は市内の小中学校と幼稚園の休校・休園を指示した。企業は在宅勤務などの検討も求められる。

 北京では先週も深刻な大気汚染が続いたばかり。初の赤色警報で暮らしへの影響が広がれば、不満が高まりそうだ。(北京=林望
http://www.asahi.com/articles/ASHD76GRRHD7UHBI01K.html

中国語では「紅色預警」か。
しかし、北京は世界で最も大気が汚染された都市ではない。


Doyle Rice “The most polluted city is? Hint: Not Beijing” http://www.usatoday.com/story/news/world/2015/12/07/beijing-air-quality-china-pollution/76924786/


WHOによれば、世界で最も大気が汚染された都市は印度のデリーである。北京は上位20位にも入っていない*1


A list of the world cities with highest pollution levels:

Rank, city, country, pollution level
1 Delhi, India 153
2 Patna, India 149
3 Gwalior, India 144
4 Raipur, India 134
5 Karachi, Pakistan 117
6 Peshawar, Pakistan 111
7 Rawalpindi, Pakistan 107
8 Khormabad, Iran 102
9 Ahmedabad, India 100
10 Lucknow, India 96
11 Firozabad, India 96
12 Doha, Qatar 93
13 Kanpur, India 93
14 Amritsar, India 92
15 Ludhiana, India 91
16 Idgir, Turkey 90
17 Narayonganj, Bangladesh 89
18 Allahbad, India 88
19 Agra, India 88
20 Khanna, India 88

Source: World Health Organization

それにしても、印度の突出ぶりは凄い。印度だけでなく、パキスタンバングラディシュを加えた印度亜大陸が上位20をほぼ独占していることになる。もっとも、WHOが計測対象としている世界の1600都市のうち、大気の状態が(WHOの基準で謂う)まともな場所はあまりない。まともな大気の中で生活しているのは、全世界の都市人口の12%であり、先進国に集中している。
なお、1位になったデリーでは、来年早々自動車規制に乗り出すという*2
See also


Tom Phillips “Beijing's 'airpocalypse': city shuts down amid three-day smog red alert” http://www.theguardian.com/world/2015/dec/08/beijing-smog-city-shuts-down-amid-red-alert

*1:WHOの尺度によれば、北京の汚染水準は53。しかし、それは年間平均値であり、現在は200に達している。

*2:Annie Gowen “Pollution-hit Delhi to ban drivers on alternate days” http://www.theguardian.com/world/2015/dec/08/delhi-car-ban-licence-pollution-smog