「ごっくりごっくり」など

ももたろう (子どもとよむ日本の昔ばなし)

ももたろう (子どもとよむ日本の昔ばなし)

おざわとしお、ながさきももこが再話して、こばやしゆたかが絵を描いた絵本『ももたろう』は長野県に伝承された話をベースにしている。ちなみに、この小澤俊夫氏はあの小沢健二のお父さん。
川の上流から桃が流れてくる場面は、


おばあさんが
川でせんたくをしていると、
むこうから大きなももが
ごっくりごっくり、ながれてきました。
「ごっくりごっくり」に吃驚してしまった。俺が憶えている、桃が流れる音は


どんぶらこ、どんぶらこ


なのだった。
また、このヴァージョンの「桃太郎」では「きびだんご」がけっこう重要な位置を占めているようだ。「きびだんご」は鬼退治の決意に先立つ。


ある日、ももたろうは、はたけにいって
きびの穂をとってきました。
そしておばあさんに、
「ばあちゃん、
このきびだんごつくってくれ」
とたのみました。
「ああいいよ。つくってやろう」

あばあさんは、
石臼できびをぐるぐるとひいて、
きびだんごをつくってくれました。

鬼ヶ島に鬼退治に行くぞと桃太郎が宣言するのはその後なのだった。また、雉や猿や犬との会話;

「こしにつけたものはなんですか」
「奇妙頂来きびだんご
ひとつ、くえばうまいもの。
ふたつは、くってはならぬもの」
美味ではあるけど過剰に食せば毒になるという両義的な力? ファルマコンといっていいのだろうか。
ところで、雉や猿や犬がいきなり「ももたろうさん」と呼びかけるのを、何で名前知っているんだよ? と以前から不思議に思っていたのだけど、文ではなく絵を見て、納得。雉や猿や犬は桃太郎が生まれる以前から一家の近所を彷徨いていたのだった。それだったら、名前を知っていても全然不思議じゃない。

「桃太郎」の話については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20081221/1229862299 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110408/1302231999でも言及した。