黒木明は嘘吐きなのか

『朝日』の記事;


「おにぎりに銀歯」うそ 記事掲載させた疑いで教諭逮捕

中村光

2015年3月29日18時53分


 コンビニのおにぎりに銀歯が混入していたとの虚偽の申し出により、店の信用を傷つけたとして、宮崎県警は29日、公立小学校教諭の黒木明容疑者(46)=同県日向市=を信用毀損(きそん)容疑で逮捕し、発表した。県警によると、銀歯は本人のものだという。

 県警捜査1課によると、黒木容疑者は2月25日、同市内のコンビニでおにぎり1個を購入。同日、毎日新聞の記者を自宅に呼び、「おにぎりを食べたところ、硬い物をかんだような違和感があり、銀歯が出てきた」と説明。翌日付の毎日新聞朝刊社会面(一部地域)に「日向のコンビニ おにぎりに異物」などとする記事が掲載された。黒木容疑者は、うそに基づいた記事を掲載させ、コンビニ店の信用を傷つけた疑いがある。

 県警が黒木容疑者の歯形と銀歯を照合したところ、本人の歯だと判明。「事実なら申し訳ないことをした」と話しているという。

 毎日新聞西部本社は「取材を尽くしましたが、新たな事実が判明し、関係者にご迷惑をかけたことをおわびします。取材はいっそう精査し、慎重を期します」とのコメントを出した。(中村光
http://www.asahi.com/articles/ASH3Y4CTPH3YTNAB007.html

嘘吐きは実は〈真実〉を知っている。嘘を吐くということは〈真実〉を知りながら敢えて〈真実〉を言わずに、自らの知識に逆らって、自分が〈虚偽〉であることを知っていることを言うことだ。だから、端から見て明らかに事実と異なっていることを吹聴している人でも、彼/彼女がそれが反事実的であるということを知らなければ、奇妙な信念を持った人ではあっても、嘘吐きとはいえないだろう。
黒木明はどうなのか。その(「銀歯」が自分のものだということが)「事実なら申し訳ないことをした」という語り方に引っかかりを覚えた人も少なくないのでは? 「事実なら」という条件付きの言い方。他人事みたいじゃねえか。まあ記事でも、黒木がゲロしたとは書いていない。もしかして、「うそ」という表現が不適当なのかも知れないと思った。黒木は「おにぎり」を食べている最中に「銀歯」を見つけたけれど、それが自分の入れ歯だということに気づいていない。だから、怒って、毎日新聞の記者を呼び出した。警察にそれは自分のものだという事実を突きつけられて吃驚している。この場合、黒木の証言に基づいた『毎日』の記事は結果的に虚偽であったけれど、黒木が嘘吐きだとはいえないだろう。その場合、黒木は〈真実〉を知らないからだ。ポリグラフを使っても反応は出ないだろう。その場合、黒木は自分の入れ歯が抜けてしまったことに気づいていないことになる。自分の入れ歯が抜けて気がつかないということがあるのだろうか。こっちの方が吃驚。
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110414/1302780017 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141222/1419219968