Brother Watch!

ジーパン・シンコその愛と死」http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20150123


『産経』の記事を引く;


 埼玉県警の50代の男性警察官が、容疑者の男の逃走を阻止しようとした際に高級腕時計が壊れたとして、修理費約70万円とけがの慰謝料など計約360万円の損害賠償を求め、男を相手取りさいたま地裁民事訴訟を起こしていることが22日、分かった。男の代理人は「捜査中に高級腕時計を着けていたことが落ち度だ」と反論。県警は「個人の問題なのでコメントできない」とするが、県警の警察官らは「聞いたことがない訴訟」と困惑している。

 訴状などによると、男性警察官は平成25年11月、埼玉県蓮田市内で公然わいせつ事件の張り込み捜査中に、女子高生に下半身を見せた男を発見し追跡。車で逃げようとしたため、ワイパーをつかみ阻止した。

 その際、数十メートルにわたり引きずられ、手や膝にけがを負い外国製高級腕時計が壊れた。男は公務執行妨害の疑いで逮捕され、傷害罪で略式起訴。男性警察官は「けがの跡が残り、精神的ダメージを受けた」として慰謝料250万円、時計の修理代73万6560円など計357万1330円の損害賠償を求めている。

 男の代理人準備書面などで「張り込み捜査では容疑者と身体的接触を伴うトラブルが想定されていた」として、男性警察官が高級腕時計を身に着けていたことを批判。慰謝料についても「けがのリスクを承知して職務を行っている警察官は、一般の人に比べて精神的ダメージも少なく、もっと低額になるべきだ」としている。
(後略)
http://www.sankei.com/affairs/news/150123/afr1501230001-n1.html

これほどの大ごとになった陽物露出事件*1がどう報道されたのかというのも興味深いのだが、話題となっているのは、そのポロリ犯を捕まえた警官のこと。
そういえば、中国にも「表哥」(時計兄貴)*2と呼ばれた男がいる。本名、楊達才陝西省の「安全生産監督管理局局長」。2012年8月、延安附近の高速道路で死者30名以上の交通事故が起こったが、彼は事故現場でへらへら笑いながらメディアの取材に応じていた。中国のネット界では、彼の腕時計に注目が集まり、間もなく、彼が公務員としての給料では購入できないほどの高級腕時計のコレクターであることが判明し、「表哥」と呼ばれるようになった。さらには、高級眼鏡のコレクターであることも発覚。翌年、不正の廉で逮捕され、中国共産党を除名される。その後の消息については知らず*3。1957年生まれなので、日本の「表哥」とも年が近いかも知れない。
Washburn氏曰く、

1999年1月、埼玉県警上尾署では、ストーカーの被害を訴えていた女子大生を門前払いし続け、告訴状を被害届に改ざんするなどしたあげく、被害者が殺害されるまで放置していたことがありました。

この事件で埼玉県警は、被害者の服装を「被害者は黒いミニスカートに厚底ブーツをはき、高級ブランドのバッグを持っていた」などと意図的にくわしく説明し、被害者に落ち度があるような印象を与える情報操作を行い、「男をもてあそんだ女がその報いを受けた」とでもいうような、報道がなされたものでした。

今回、容疑者を訴えた警察官が上尾署にいた人かどうかはわかりませんが、かつて「高級ブランドバッグを持ち歩くような女には落ち度がある」という情報操作をやっていた県警が、今度は「警察官が捜査中に高級腕時計をつけているのが落ち度だ」といわれているわけですから、まぁどこまでも因果の深い話ですなぁ。

たしかに。
でも、敢えてこの警官を擁護する。この被告側弁護人の理屈が通ってしまったら。例えば、あなたが通勤中に何かのトラブルで自らのアルマーニのスーツをひっちゃぶかれて、スーツ代を弁償しろという訴訟を起こしたとする。被告側の代理人が、そもそも(あの「ちきりん」*4も危険だと言っている)通勤電車でアルマーニのスーツを着ることが間違っているというのも通ってしまう。また、「危険がともなう業務」だからこそ、高級品で身を固めなければいけないという理屈も成立する。薄化粧をし・香を身体に焚き込めて戦場に赴くのは武士の嗜みであった。何かあって、意識が薄れつつあったり、死んでしまったりして、医者やら看護士やら検死官やらに、こいつ爪先から頭の天辺まで安物でばかりじゃん、と嘲笑されるのは嫌でしょ? 或いは、(スモーカー時代の)ジェームズ・ボンド*5ゴルゴ13が100円ライターで火を点けていたら、敵側の工作員になめられてしまうだろう。もしかして、この警察官は元丸暴で、安い腕時計をしたためにやくざになめられたという経験をしていたのかも知れない。