「私に信じてほしいならば、ここで裸になってくれ」

承前*1

大正大学「全裸」事件、大正大学当局がその「経緯」を報告している;


「本学非常勤講師による不適切な行動について(報告)」http://www.tais.ac.jp/other/news/latest_news/blog/2015/01/10-182032.html *2


これで、事件のあらましは大凡明らかになったといえる。大正大学は一応の説明責任を果たした。
大正大学の男性非常勤講師、女子学生の要求で全裸に 大学が経緯を説明」という「ねとらぼ」の記事から引用;


男性からの聴取によると、同大学の女子学生(21歳)と口論となり、「私に信じてほしいならば、ここで裸になってくれ」と要求されその言葉に従ったという。男性と女子学生は半年ほど前から親も同意の上で生活をともにしていた。

 男性によると、女子学生は日頃から情緒不安定な面があり、感情が高まると突発的にどんな行動を取るか分からず、彼女の言葉に従った。その際、衣服を女子学生に持ち去られてしまい、その場に踏みとどまったため他の学生の目にするところとなったと説明している。

 女子学生の不安感を払拭させるために取った行動だったとはいえ、極めて軽率な行為であったと反省し、辞意を表明するに至った。男性は「自分の大事な人を守るために行ったことが、結果としてこのような事態に至ったこと、重ねてお詫びいたします。皆さんには、自分の信頼すること、信じることを貫き通して欲しいと思います。そのとき少しの冷静さも忘れないようにしてください」とコメントを残している。

 大学側も男性の動機に同情すべき点はあるものの、その行為は公序良俗に反するものであり規定に違反するものとして辞表を受理したと説明している。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1501/10/news017.html

「男性と女子学生は半年ほど前から親も同意の上で生活をともにしていた」――これを殆どの人が恋愛関係と解しているようだが*3、そう言い切っていいものか。わからない。
また、Yahooに載った『報知』の記事*4に、碓井真史氏*5がコメントを寄せている;

大学側の説明を聞いても、なお不明点は多い。想像できる一つのパターンとしては、次のようなものがある。

「女子学生は、能力もあり魅力的だとしても、パーソナリティの偏りなど何らかの原因により「日頃より情緒不安定」だった。このようなタイプの人は、しばしば甘え、暴力、自殺のほのめかしなど様々な方法で周囲を激しく振り回す。男性講師は、恋愛感情や彼女を守ろうとする思いから、これまでかなり無理な要求にも応じてきたが、今回とうとう破綻してしまった。」

真相は不明である。しかしいずれにしても、病んでいたのは二人の人間関係だったとは言えるだろう。男性講師による行動の動機は、善意だったかもしれない。しかし、「日頃より情緒不安定」な人を支えるためには、要求に従うだけではなく別の方法があったはずである。

臨床心理学者なら如何にも言いそうだなという物言いであり、大まかには正しいのだろう。ほかにも、「境界性人格障害」を疑っている人がいる*6
なお、「公序良俗」を超えた視点も示してほしかったと思う。それは、大正大学が佛教系・人文系の大学だからだ。「公序良俗」で事が済むんだったら、宗教も文学も哲学も出る幕はないよということだ。
See also
cyanmatsu.com「【画像あり!!】大学校内で「全裸」になった講師いたと話題に【大正大学】」http://matome.naver.jp/odai/2142085450258442101