予期される効果(笑)

時事通信の記事;


論文盗用で教授解雇=3大学で23本−龍谷


 龍谷大(京都市)は31日、論文に盗用があったとして、文学部の菅山謙正特任教授(61)を懲戒解雇したと発表した。処分は7日付。菅山氏は在籍していた京都府立大や神戸市外国語大でも盗用を繰り返しており、不正行為があった論文は3大学で計23本に上るという。
 龍谷大によると今年1月、同大の研究不正行為通報窓口に匿名のはがきが寄せられ発覚。調査の結果、昨年4月〜今年10月の在職中、日本言語学会で発表した論文など2本で不正が認められた。
 京都府立大(2006年4月〜13年3月在籍)は論文20本中16本、神戸市外大(1983年4月〜06年3月在籍)では92年以降、少なくとも5本で不正が見つかった。海外の論文を引用し、盗用が8割を占めるケースもあったという。京都府立大は20日付、神戸市外大は29日付で名誉教授の称号を取り消した。
 龍谷大によると、菅山氏は「他人と自分の文章を混同した。不注意だったが、大学や学生に迷惑を掛け猛省している」と話しているという。(2014/10/31-17:15)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014103100852

また、共同通信(『中日新聞』);

2014年10月31日 15時42分

龍谷大特任教授が英語学論文盗用 懲戒解雇、「引用のつもり」


 龍谷大は31日、記者会見を開き、英語学に関する20本以上の論文で盗用が発覚したとして、文学部の菅山謙正特任教授(61)を10月7日付で懲戒解雇したと発表した。「引用のつもりだったが、盗用と受け取られても仕方がない」と話しているという。

 龍谷大によると、菅山氏は1983年4月〜2006年3月に神戸市外国語大、06年4月〜13年3月に京都府立大に所属。その間に執筆した少なくとも20本の論文で、別人が書いた論文の一部を書き写していたことが判明した。

 今年1月、匿名の通報があり、3大学が合同で本人への聞き取りなどの調査をしていた。

(共同)
www.chunichi.co.jp/s/article/2014103101001745.html

「菅山謙正」氏は「スガヤマ ケンセイ」と念むが、そのプロフィールや履歴や研究業績はhttp://researchmap.jp/p0083468/で見ることができる。自分のサイトを持っていたようだが、既に閉鎖してしまったようだ*1。また、関連する3つの大学のうち、京都府立大学のステイトメントは見つけることができた*2
文系における最近の盗用事件というと、名古屋外国語大学現代国際学部国際ビジネス学科長(会計学専攻)による剽窃事件*3早稲田大学で論文における「盗用」を理由として博士号が取り消された事件*4とかがあったが、今回の菅山事件は、菅山氏がこれまでに学会関係の役員を歴任してきたようなヴェテランの学者であること、不正の期間が撤回論文世界チャンピオン(笑)の藤井善隆*5よりも長いらしいということ、「盗用」が査読制度のある学会誌にも及んでいる可能性があり、査読制度の有効性*6が問われかねないことといった特徴があるといえるだろうか。
さて、菅山氏の「盗用」が「発覚」した契機は龍谷大学に送られた「匿名のはがき」であったという。その無名氏はどんな人だったのだろうか。以下は無根拠な推測。盗用元と盗用先のテクストにアクセスでき、その両方を読解・比較する能力のある人間。アカデミズム、それも言語学や英語学の人。さらにいえば、専門領域も菅山氏にきわめて近い人なのでは? もしかして、菅山氏に迫害された、精神的・物質的なダメージを蒙ったという思いがあって、菅山氏をかなり恨んでいた? それで、この事件はアカデミズムにおけるパワハラを減らすという効果を持つのかも知れない。いじめたら、ちくられて菅山のようになるということで。