公共性からの撤退?

NHKの報道;


国民の政治参加の意識 低下傾向に
7月31日 5時11分


国民の政治や社会に対する関わり方などへの意識について、NHKが調査したところ、「人々が公的な決定に参加できる機会を増やすこと」を非常に重要であると答えた人がおよそ20%と、10年前の半数以下に減少したことが分かりました。
専門家は「国民の政治参加への意識が低下する一方、暮らしを重視する傾向がうかがえる」と指摘しています。

NHK放送文化研究所は、国民の政治や社会に対する関わり方などへの意識を調べる「市民意識に関する国際比較調査」を、先月、全国の16歳以上の男女2400人を対象に配付回収法で行い、およそ66%に当たる1593人から回答を得ました。
それによりますと、民主主義の権利として9つの項目を挙げて、それぞれどのぐらい重要だと思うか聞いたところ、「人々が公的な決定に参加できる機会を増やすこと」を非常に重要と答えた人は、10年前を24ポイント下回る21%で、半数以下に減りました。
一方、非常に重要と答えた人の割合が最も高かったのは、「すべての人に医療が提供されること」で67%、次いで、「すべての国民が適度な生活水準にあること」が46%などとなっていて、身近な暮らしに関する項目が上位を占めました。
また、政治的・社会的な行動をしたことがあるか、8つの項目を挙げて聞いたところ、10年前と比べて、「寄付や募金活動」は15ポイント下回る24%、「請願書に署名」は12ポイント下回る37%となりました。
調査結果について、国民の政治意識を研究している学習院大学の平野浩教授は「民主主義にとって、国民が政治の意思決定に関わるとともに、政治を監視する姿勢を持つことが大事だが、調査結果からは、そうした意識が低下する一方、暮らしを重視する傾向がうかがえる」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140731/k10013422013000.html

「国際比較」も含めて、もっと詳しい分析を早く読みたいなとは思う。
さて、「政治参加」というか公共性への志向が弱体化している。平野浩氏*1は、それに代わって「暮らしを重視する傾向」が強まっているという。これは所謂新自由主義的政策よりも福祉国家的政策を求める傾向が強くなったということでしょ?*2 10年前といえば、小泉政権の全盛期。そのときと現在の間には、民主党への政権交代民主党政権のあっけない崩壊及び(更に右傾化した)自民党の復活があった。また東日本大震災、特に311を契機とする脱原発運動の盛り上がりがあった筈だ。こうしたことたちは、ここに示されている公共性への志向の弱体化にどのような影響を与えているのだろうか。前者に止目すれば成る程と納得する人が少なくないのだろうし、後者に焦点を当てれば何故? と意外感を隠せない人が多いのではないだろうか。
最近毛沢東ポル・ポトを比較したコメントを頂いて*3全体主義と独裁の関係についてちょっと考えてみようと思っていた。「政治参加」志向の弱体化という調査データと絡めて言えば、独裁者の登場の危険は増えているものの*4全体主義からは少しは距離が拡がったといえるかも知れない。人民の「政治参加」へのパッションを搾取・動員することなしに全体主義は作動しないからだ。