英語は怖い?

中川李枝子「戦争は怖い」『熱風』2013年7月号*1、pp.16-19
http://www.ghibli.jp/docs/0718kenpo.pdf


少し抜き書き。戦争中の小学校;


全校生徒の朝礼で校長先生は「空襲はスパイの仕業」と繰り返した。「兵隊さんは戦地で勝っているのに内地が空襲されるのは、我々の近くにスパイが潜んで情報を送っているせいだ。外国人を見たらスパイ、外国語を話し外国の本を読む人もスパイと思いなさい。もしお家の人が怪しければ先生に知らせなさい」。
 スパイとは何者か女の子たちにはわからない。どうやら黒い眼鏡をかけて隠れ家でトン・ツー・トンと信号を打つ怖い男らしかった。(p.17)

三年生のとき隣の組のYちゃんに貸した『アンデルセン童話集』が担任に見つかり、外国の本を読むとは非国民と没収された。彼は国防色の国民服を着て朝礼で号令をかける怖い先生だった。私は心底ぞっとした。
 父が入学祝いに買ってくれた『アンデルセン童話集』なのだ。父の書斎には外国の本やレミントンのタイプライターがある。スパイの嫌疑をかけられたらどうしよう。母が知れば返してもらいに学校へ行くだろう。母にもスパイの疑いがかかる。眠れない程悶々としていたら学童疎開令が出た。(ibid.)
See also http://d.hatena.ne.jp/o-kojo2/20130510#p1 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130618/1371518971
また、


http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130830/1377790787