賛成の反対?

http://d.hatena.ne.jp/next49/20130306/p1


黒田東彦日銀総裁候補に対する日本共産党佐々木憲昭議員の質問を報じる『赤旗』記事*1を採り上げ、佐々木氏のリフレ政策に対する認識が〈バカボンのパパ〉状態であることを示している。


日本共産党佐々木憲昭議員は、働く人の所得の減少、社会保障制度改悪による12・7兆円もの負担増など「デフレの原因は国民の家計消費低下による需要の落ち込みだ」とのべ、デフレ不況に対する認識についてたずねました。黒田氏は「さまざまな要因、相互関連の中で物価が下落している」としか答えられませんでした。

 佐々木氏は「日銀はずっと金融緩和をやってきた。銀行から先にお金が流れないのは資金需要がないからだ」とのべ、金融緩和策について誤りを指摘。黒田氏は「(資金供給の)増やし方が問題」とはぐらかしました。

 佐々木氏は「企業に積みあがった内部留保が『生きた金』として社会に還元されなければ、経済活性化につながらない」とのべ、内部留保を労働者の賃金引き上げに還元させ、内需を活性化させることこそデフレ不況克服の最善策であるとのべました。黒田氏は「企業部門が資金強化に走っている」と認めつつも、金融緩和など従来の政策を繰り返すだけでした。

 佐々木氏は「金融緩和を続ければ通貨の価値を下落させ、インフレになりかねない」と指摘しました。

たしかに企業の「内部留保」が増えて労働分配率が落ちているのが「デフレの原因」(のひとつ)だというのは誤ってはいないだろう。しかしそれと金融政策との関係は? 「金融緩和」の反対は引き締めだけれど、共産党は金融引き締めに賛成するのか。また労働分配率の問題にしても「社会保障制度改悪」にしても、管轄は厚生労働省で、日銀にそういうクレームをつけられてもどうすればいいの? さらに佐々木氏は「デフレ」が「克服」されるべきものであることを認識している。また「金融緩和を続ければ通貨の価値を下落させ、インフレになりかねない」ということも認識している。「デフレ」の反対は「インフレ」である。「デフレ」を克服しなければいけないと考えており、「金融緩和」の効果も認識している。それなのに、何故「金融緩和」を批判するのか。勿論リバタリアンではデフレ上等! という意見の人もいる*2。またリフレ派がいうようにほんとうにインフレをターゲットの枠内でコントロールできるのかという疑問もあるだろう。そういう人が「金融緩和」を批判するのは必然的だろう。しかし共産党が如何なる理路でそれを批判するのかはよくわからないのだ。

さて『発声練習』にはリフレ問題の論点を整理した「リフレ話に絡みたいときのチェックポイント」*3あり。また矢野浩一「インフレとデフレと景気に関するよくある質問集」へのリンクも*4
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080315/1205590836