和辻/丸山(メモ)

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130226/1361894685に対して、


Talpidae*1 2013/02/27 03:25
丸山の福沢理解はほとんど和辻の福沢理解とかぶりますね。和辻は、儒教批判の文脈で、福沢は天賦人権論をとなえる一方、民族主義を唱えた。そこには、植民地競争の世界情勢も反映されていると。『日本倫理思想史』は1952年刊ですが、丸山は和辻の講義を聞いてますから影響関係はあるかもしれませんね。そして、和辻の福沢評というのはいまいち勘所が分からない。彼は他方で近代国民国家にあわせた儒教回帰の流れを評価してもいるからです。その一方で、「国民道徳論者」とは一線を画している。こうなると、丸山は和辻をどう評価するんだろうという話にもなりますな。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130226/1361894685#c1361903135

Talpidae 2013/02/27 03:59
あっと思い出した、福沢は明六社が解散する頃には欧化主義批判を始めるという話も和辻はふっています。そうなると、このあたりから福沢は単純に儒教批判では動いていないことになります。さらに、和辻は後年、儒教批判をしていた福沢が国民道徳論者を批判しなかったことを問題にしていますね。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130226/1361894685#c1361905163
いつもいつもありがとうございます。
取り敢えず熊野純彦和辻哲郎』からメモ。

日本政治思想史家の丸山眞男は、かつて和辻の日本倫理思想史を聴講していた。丸山自身の日本政治思想史講義には、和辻思想史のあきらかな影がある。丸山の和辻評価は、とはいえ、公式には総じて厳しい。とりわけ一九四四年の雑誌『思想』二月号に発表された「アメリカの国民性」については、「あれはひどい。当時の『思想』の恥ですね」とまで酷評していた。(p.200)
それから、『丸山眞男回顧談』(上巻)を孫引き;

お尋ねの天皇論については、国民統合の象徴というのはよくわからないという議論がいろいろな人から出た。最も象徴論を擁護したのが和辻さん。これでいいじゃないかと。象徴というのは何ですかと聞くと、和辻さんが象徴についての解釈をした。象徴というのは、全体性を表すものだ、必ずしも天皇の具体的人格ではなくてもいいと言うのです。そうしたら宮沢〔俊義〕さんが、意地悪いものだかな、旗を真中に立てて天皇と書いておけば、それでも象徴になりますかと言うのです。和辻先生はグッと詰まって、ウーン、いいでしょう、と。(cited in pp.200-201)
和辻哲郎―文人哲学者の軌跡 (岩波新書)

和辻哲郎―文人哲学者の軌跡 (岩波新書)