- 作者: 黒古一夫
- 出版社/メーカー: 第三書館
- 発売日: 1993/05
- メディア: 単行本
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黒古一夫『村上春樹 ザ・ロスト・ワールド』9章「核状況下のゾンビ」*1に引用されていた荒正人の1946年のテクスト「原子核エネルギイ」。孫引きしてみると、
レーニンが長生きしていたら、社会主義とは原子力+ソヴィエトであると再定義したのだろうか。それはともかくとして、荒正人がその後原子力に対するスタンスを変えたのか変えなかったのかというのは審らかではないが、吉本隆明の原子力賛美*2というのは、この1946年の荒正人の水準のまま60年以上も一貫していたと考えられるわけで、その意味でも吉本は〈戦後日本〉そのものだった。
原子核エネルギイの発見、創造はどんな意味をもっているのであろうか。わたくしはそれを星の人工とよびたい。(中略)こんにち人類は、星のエネルギイを獲得したのである。この無限大のエネルギイもいつかは工業化されるであろう。かくして、人類の胸を――『旧約』の記者を、空想社会主義者を、科学的社会主義者を掠めていった、あの終局の希望も実現されるであろう。それは、各人がその力量に従って働き、各人がその必要に応じて享ける、というユートピアである。(p.219に引用)
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110515/1305448821