恋愛の比重?

「若者のなんちゃら離れ」http://d.hatena.ne.jp/bohemian_style/20120206/p1


曰く、


 まぁちょろっと調べないと、チャラチャラしてるだろ、と思われてしまうのが、テレビ叩きの淵源の様な気がして、「外見で損する残念な人」みたいな妙な同情を今テレビ業界に抱いている。しかし、このテレビ業界への偏見(?)を克服した上で、敢えて戦線を拡大するなら、AKB48、嵐、EXILE、韓流による当たり障り無いラブソングしか上位に来ない音楽業界は何なのだろうか。2011年のCDセールスが、AKB48と嵐とEXILEと韓流で占拠されてるのは、2011年の音楽ランキング@ニコニコ大百科でも見て欲しい。まさしく「これはひどい」。

 こちら様でも「若者の音楽離れ」とか「海賊版被害」とかテレビと全く同じ事を業界の人が言ってるけど、音楽業界における「家政婦のミタ」はきっとあって、それが既存の打率重視の売り方に適合してない、というだけだと言う疑いが拭えない。だって、僕も音楽聞きたいけど、当たり障り無いラブソングなんて共感できないし、社会全体も、平均年齢が上がる中で人生の喜びとか悲しみの中における、これまでの様なプレーンな恋愛の重みって下がらざるを得ないと思うんだよね。それがゆえに、10代の歌手ならともかく、それなりの年齢の歌手がラブソングしか出してないと、これが最近キモく感じられて困っている。リア充爆発しろとは少し違うのだが、何なのだろう、この違和感。そんな事しか考えないなんて頭悪いんじゃないか、と思えてしまうのだろうか。かと言って、演歌みたいなドロドロをドロドロのフォーマットに載せるのも少し違うと感じられる。

「社会全体も、平均年齢が上がる中で人生の喜びとか悲しみの中における、これまでの様なプレーンな恋愛の重みって下がらざるを得ないと思うんだよね」。さてどうなんだろうね。これに反して、「人生の喜びとか悲しみの中における」「プレーンな恋愛の重み」というのは増大せざるを得ないのではないかと思う。これまで恋愛というのは10代や20代の所謂若者に限定されていた。そうでなければ所謂〈不倫の恋〉。これはどちらも結婚制度(家族制度)に関係しており、前者は結婚(家族)が存立する前提としての恋愛、後者は結婚(家族)に脅威を与える恋愛ということになる。ここで〈不倫〉についてはちょっと考えから外しておく。晩婚化また結婚しない人の増大というのはここ数十年のトレンドであろう。とすれば、これまで10代や20代が独占していた恋愛体験は30代や40代にもずれ込むことになる。さらに高齢化。これは(配偶者との死別による)単身の高齢者の増加も意味する。事実、米国では高齢者の間でのAIDSの拡がりが懸念されている。何しろ妊娠を気にする必要のない高齢者の間ではコンドームは使われないからだ。つまり、晩婚化や非婚化や高齢化といった人口学的趨勢は恋愛を体験する可能性をあらゆる年齢層において増大させる。だとしたら、「人生の喜びとか悲しみの中における」「プレーンな恋愛の重み」は増大せざるを得ない。
さて、『家政婦のミタ』って「ホームドラマ」なのか。「ホームドラマ」というのは私にとっては『時間ですよ』*1とか『寺内貫太郎一家』のようなものをいう。だから『家政婦のミタ』が「ホームドラマ」だと言われると、かなりの違和感を持ってしまうのだ。ただ『寺内貫太郎一家』のようなドラマのplausibility stuctureはかなり稀薄になっているとは思う。ところで『家政婦のミタ』を視ていると、ジャンルを問わずTVドラマにおいて最重要なのはサスペンス(宙吊り感覚)だということがわかる。映画の場合だと、1度入場した客は取り敢えず終わるまでいるだろう。しかしTVドラマの場合、CMでブレイクした後に視聴者がそのドラマをまた視ることは保証されない。また何よりも今週の視聴者を来週につなげなければならない。そのためには視聴者に一段落したという安心感を与えるのではなく、CMの後や来週になったら解かれるかも知れない〈謎〉を与えなければならない。そういう視聴者を宙吊り状態に置く技巧ということでは、『家政婦のミタ』はよくできていると思った。ところで、『家政婦のミタ』から一瞬筒井康隆の『家族八景』を思い出したのだが、そういうのは俺だけなのだろうか。
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家族八景 (新潮文庫)

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何故文学を初めとする言語表現・映像表現において恋愛は特権的なテーマと見なされるのか。それは恋愛が私たちの社会的な実存における根柢的な境位を一瞬であっても開示しうるからだと言っておく*2。コンティンジェンシー(偶有性)と受動性*3