承前*1
『日経』の記事(共同);
数年前には「法要」が問題になっていたけれど、今度は「参拝」も駄目なのか。「暴力団」関係者は今後日本社会において村八分どころか〈村十分〉にされることになるのか――「いろんな理屈をすっ飛ばしても、とにかく『火事と葬式は別』だろ」*2。島田紳助が「引退」に追い込まれた時、「これで「引退」なら美空ひばりの歌は放送禁止になってしまうの?」と思ったのだが*3、まじでそういう可能性も出て来たのではないか。
山口組の参拝、延暦寺が拒否 歴代組長の位牌安置2011/11/17 23:15
天台宗総本山の比叡山延暦寺(大津市)が6月下旬、指定暴力団山口組に「今後、組関係者の参拝は受けられない」とする内容の通知を送っていたことが17日、同寺への取材で分かった。組側からは7月上旬に「了解した」との回答を得た。
延暦寺には山口組の初代〜4代目組長の位牌(いはい)が安置され、2006年4月には全国の幹部約90人が集まり歴代組長の法要が営まれた。同寺は「甚だ軽率な行為だった」とし、代表役員ら計7人が引責辞任した。
延暦寺はその後、暴力団の法要を拒否する方針を明らかにしたが「純粋な宗教心までさえぎれるのか、と葛藤もあった」(同寺関係者)という。しかし暴力団排除に向けて全国的な機運が高まったことにも後押しされ、正式に山口組への通知を決めた。
滋賀県警は06年の法要について「香典名目で数千万円が上納されたとみられる」と分析。県警によると法要後も毎年、暴力団の資金が集まる組織的な行事を受け付けないよう寺側に求めてきた。
同寺は「少人数の場合、一般の参拝者と見分けるのは難しく、個人的な参拝までは制限しづらい」としながらも、組長の位牌への参拝や法要などは拒否する考えだ。
全日本仏教会(東京都港区)によると、12月の理事会で警察庁から暴力団排除について説明を受けた上で、全国の仏教会や加盟する宗派に警察との協力を要請するという。〔共同〕
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E3E5E2E1988DE3E5E3E3E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2
これを「陰湿な社会的排除」*4として批判することは勿論可能だし、妥当なことだと思う。私としては、2点ほどコメントしたい。先ず「暴力団」を「排除」するにしても、天台宗はそれを、世俗的な〈公序良俗〉などではなく教学的に正当化すべきだろう。ただ、それを本格的にやると、天台宗の宗派としての存立の根柢を揺るがしかねないだろう(Cf. eg. 高橋富雄『徳一と最澄』)。次は思いっきり世俗的なこと。山口組側が既に永代供養料を払い込んでいると仮定して、この度の参拝禁止の処置に対して、永代供養料返却を要求する訴訟を起こしたらば、その勝敗はどうなるのだろうか。
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