東西吉本など

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110713/1310486787に対して、


nessko*1 2011/07/13 11:26
大塚英志と吉本との対談本

だいたいで、いいじゃない。』という本でした。細かい中身は覚えていないけれども、本の題名がすべてを言い尽くしている内容だったと記憶しています。
吉本先生と会ってお話することで、大塚英志が癒されているようなかんじだった。大塚英志は世代としては新人類ですよね?

>『マリ・クレール』における山田宏一淀川長治との鼎談だったのでは?

私が持っている蓮實重彦の本は、その鼎談をまとめた『映画千夜一夜』だけですね。私にとっては淀川長治の本になりますが、蓮實、山田両氏が映画好きとして淀川先生をリスペクトしつつ見事な聞き役になってくれていました。
『映画千夜一夜』で蓮實重彦に接近遭遇した私は、蓮實重彦という名前を聞くと、ワーナー・オーランドの写真を反射的に思い出してしまいます。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110713/1310486787#c1310524018

大塚英志は世代としては新人類です」。それから、フランソワ・トリュフォーへのインタヴューにしても、落合博満へのインタヴューにしても、蓮實先生の本領はインタヴュアということでしょうか。

osaan 2011/07/13 15:38
吉本隆明コム・デ・ギャルソンのモデルになって雑誌のグラビアに載ったら、
それに埴谷瘉高が噛み付いて、「コム・デ・ギャルソンの芸術性は『死霊』に勝るとも劣らない!」
とやや無茶な応えがあったりとかしたことがありました。
横からいろんな人がコメントし、最後にはビートたけしまで「高等漫才」なんて言ってました。
確かに両方とも「どこまで本気なんだ?」って感じでしたけどね。

そういえばオウムの事件の時にも「麻原は立派な修行者」と持ち上げて、弟子(?)の芹沢俊介をどん引きさせてましたっけ。
水たまりを見たら、とりあえず足を突っ込まないと気がすまない人なんだと思います。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110713/1310486787#c1310539096

私もビートたけしのコメントがいちばん面白かった。たしか『朝日ジャーナル』に載ってましたっけ。因みに、この件で(作家として)いちばん正しかったのは(中上健次が言ったように)大岡昇平の反応だったと思います*2
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20110619/p1で、坪井秀人『戦争の記憶をさかのぼる』で論じられている『死の灰詩集』とそれに対する鮎川信夫の批判が言及されています*3。そのコメント欄で、1980年代の所謂〈ロス疑惑*4に対する鮎川信夫吉本隆明の反応の話が出ています*5。『朝日ジャーナル』で〈ロス疑惑〉を採り上げたことがあって、そのとき、鮎川信夫が〈ロス疑惑〉報道肯定の文章を、松本健一*6が批判的な文章を書いていたと思います。
戦争の記憶をさかのぼる (ちくま新書(552))

戦争の記憶をさかのぼる (ちくま新書(552))

さて、久野収浅田彰柄谷行人「京都学派と三〇年代の思想」(『批評空間』II-4、pp.6-33、1995)*7から;

柄谷(前略)さきほど久野さんは、日本にはレトリックの論理が欠けている、一人芝居、一人演説の世界で、それをどういうふうに壊すかが問題だと言われたし、また知識人だけの言語に閉じこもってはいけないと言われた。ぼくがそのことで思うのは漫才のことです。われわれが知っている「漫才」というのは、その言葉からしてそうなんですが、東大新人会の秋田実が大阪に帰って、エンタツと出会って創造したものですね。
浅田 秋田実は正しくマルクス主義を大衆化したとも言えるわけですよ。
久野 今になって秋田実の偉さがわかってくるというのは、われわれの全く至らんところでしてね。庶民の言葉と対話を、庶民に埋没せずに使っていくというね。
柄谷 大阪の吉本は秋田実から始まっているわけですが、ぼくの出自はそこなので、東京の吉本に相反する(笑)。東京の吉本思想は、大衆的存在を包摂するとか言うけれど、
それは独我論的に閉じていく形態だと思うんです。
浅田 あれはもの言わぬ大衆なんですね。でも大衆ってものを言っているんですよ。
久野 東京の吉本の扱う大衆というのは古典的大衆で、ものを言わない大衆を予想するから違ってくるんじゃないですか。
浅田 本当はうるさくしゃべりまくる漫才的大衆を考えなければならない。
柄谷 『土曜日』が京阪神で八千部も売れていたというのは、そのことと関係があるのではないですか。関西出身の兵隊は敵がくるとすぐに逃げてしまうという定評があったらしいし。「黙って事変に処す」なんてことはしない。ボヤキまくる(笑)。(p.32)
批評空間 (第2期第4号) 京都学派と三〇年代の思想

批評空間 (第2期第4号) 京都学派と三〇年代の思想