父さんじゃなくて

承前*1

毎日新聞』の記事*2を踏まえて、


私も「『原発継続』表明へ」という見出しを見て色めきだったが、記事を読んで、「なんだ、これだったら緩やかな『脱原発』じゃないか」と思ったのだった。

毎日の大貫記者は、原発を新設しなければ今後どんどん耐用年数に達して運転を停止する原子炉が増えることを書いていない。そして、即時原発を全停止するのでない限り、「原子力の安全性向上」をしなければならないのは当然だ。共産党でさえ同じ主張をしている。志位委員長は、原発事故直後に「即時原発を全部止めるのは現実的ではない」と言っていた。浜岡原発にしたって、止めたから安全対策に兆の金をかけることなどないなどと、一部の能天気な「反原発」派は主張しているが、現に運転を停止してた東京電力福島第一原発4号炉が深刻な事故を起こしたことを認識していないのだろうか。そんなバカなことを言っているから、震災前にさんざん原発推進派にバカにされてきたのだ。原発は、一時停止どころか廃炉に持っていくまでの期間にさえ、安全性確保のために金をかけなければならない、とんでもない「金食い虫」なのである。原発が「低コスト」だなんてとんでもない。原発ほど金のかかる発電方式はない。これこそ、中曽根康弘や故正力松太郎など、過去の人間が現在や未来の人間に押しつけた余分なコストなのである。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110522/1306025729

そういう「能天気な「反原発」派」っていたのか。知らなかった。まあ、かなり前に折角造ったんだから寿命が来るまで運転し続ければいい、原発をやめるのはそれからでいいという「能天気な」原発肯定派に会ったことがあるのだけれど、それよりも酷いとはいえる。ところで、「原発は、一時停止どころか廃炉に持っていくまでの期間にさえ、安全性確保のために金をかけなければならない」というけど、さらに廃棄物の問題がある。勿論池田信夫的解決法というのがあるのかも知れないけれど*3、〈池田メソッド〉はそもそも倫理的準位において容認不能だといえるだろう*4。それから、使われなくなった原子炉はそれ自体が巨大な高レヴェル廃棄物である。脱原発するにせよ、原発は長期に亙るお付き合いをストーカー的・亡霊的に要請するといえるだろうか。
かつて米国で核廃棄物の貯蔵地における1万年後を射程に入れた(宇宙人にもわかるような)危険! 表示の考案が検討されたことがあったが*5、そのとき研究を委嘱されたひとりは記号学の大家シビオク先生だった筈(『自然と文化の記号論』)。
自然と文化の記号論

自然と文化の記号論

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110508/1304788296

*2:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110521ddm002030142000c.html

*3:http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51710655.html

*4:池田にとって〈倫理〉というのはお勘定、大阪言葉でいえばおあいそ(account)の問題でしかないらしいのだが、個人的にはこれは驚くべきことだと思う。

*5:このことはhttp://news.livedoor.com/article/detail/5430612/ウルリッヒ・べックの著書からの引用という仕方で語られている。