追われて?

UTAU

UTAU

大貫妙子坂本龍一『UTAU』*1はそのタイトル通り大貫さんのヴォーカルが前面に出ていて、坂本龍一伴奏に徹している。このディスクも(これまで聴いた大貫妙子のアルバムと同様に)プレイヤーを占拠する時間が長くなりそうだ。今のところいちばん印象が強いのは「TANGO」。これは元々『LUCY』*2に収録されていたものだが、そもそもは坂本龍一の曲。オリジナルでは坂本龍一がヴォーカルを取っていたということなのだが、まだ聴いたことがない。キーボードならともかく坂本の歌なんか聴きたくないというのと同時に怖いもの見たさ(聴きたさ)というのもある。

LUCY

LUCY

三木露風作詞、山田耕筰*3作曲の「赤とんぼ」が収録されている。「夕焼け小焼けの赤とんぼ/負われて見たのはいつの日か」。10代の数年間、俺は「負われて見た」を〈追われて・見た〉だと思い込んでいたことがあった。つまり、赤蜻蛉に襲撃されたトラウマの歌だと思っていたのだった。それはともかくとして、「赤とんぼ」は私に現前しているわけではない。これは〈喪失〉の歌だとはいえるだろう――「十五でねえやは嫁に行き/お里のたよりも絶え果てた」。