http://d.hatena.ne.jp/Cosmopolitan/20110403/1301831319
曰く、
たしかに、ハイデガーなら思考の務めはGestellに対してお前も死すべき存在(mortal)にすぎないと諭し続けることだと言うかも知れない*1。しかし、他方で「終末論」に対しては抵抗し続けたいとも思っている*2。その根拠についてここでは詳述できないのだが、今回の福島を含む原発事故に関して言えば、その恐ろしさは寧ろ「終わり」が「我々の現在に差し迫っている」にも拘わらず(実際には)「終わり」は常に確率論的な予感に留まるということなのではないかと思っている*3。それはケルケゴール的といえるかも知れない(『不安の概念』)。「終末論」(eschatology)の綴りをちょこっと操作すると、scatologyになるけど、そういうものなのだろう。〈トイレのないマンション〉という言葉もあったし。
私は現代は文明の転換期であると言った。この文明は完全に亡びるかも知れないーそういう認識が必要であろう。そのような終末論的な意識・黙示録的な自覚を促すものとして、今回の自然災害と原子力災害を受け止めるべきだと思う。我々に必要な知は、科学技術の知ではなく、人知の限界と世の終わりが恒に我々の現在に差し迫っているという終末論的な知である。
その終末の時代を直視しつつ平常底を生きること、終末をつねに先取りしつつ平常心をもって現在を生きることによって、はじめて我々の文明の未来を語ることが出来るのではないか。
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*1:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110508/1304878987
*2:因みに、クリスチャンにとって、「終末」は〈恐怖〉ではなく〈希望〉であろう。