李銀河論「政治体制改革」(翻訳)

http://blog.sina.com.cn/s/blog_473d53360100m344.html


http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101220/1292871797で、李銀河老師に言及したのだが、トレーニングを兼ねて、そのblogエントリーのひとつを訳してみよう。2010年10月15日付のもの;


中国政治体制改革は人民代表大会代表の競争選挙から始めるべきである


国家指導者は最近何度も政治体制改革を呼びかけている。政治体制改革の目標は民主化の度合いを高めることである。所謂民主というのは各種のチャンネルを通じて公民の政策決定への参加の度合いを高めることである。有り合わせの人民代表大会制度が[我々にとって]既製の民主のデザインということになるのだが、ただそれは人民の意志を代表するという機能を従前に発揮していないだけである。私は、その中でも最大の問題は多数の代表の政治に参加し・政治を議論する能力が足りないこと、さらには政治に参加し・政治を議論するという意識が欠如している者もいるということであると考える。それは人民代表大会代表が選抜される過程に関係がある。もし我々が各業界の模範人物を選抜するのだとしたら、そのようにして選ばれた人は人民代表大会代表には適さず、彼らは英雄模範大会に参加し各種の表彰や褒賞を受けることは可能だろうが、民意を代表することは彼らの取り柄ではない。
ならば、人民代表大会代表はどのように選抜されるべきなのか。私は競争選挙にすべきだと考える。人民代表大会代表になりたいと思う人は自らの政策的主張を提出し、選挙民に2つの基準によって自らの代表を選択させるべきである。[2つの基準]の1つ目は彼が提出した政策的主張が自らの願望を代表しうるかどうかということであり、2つ目は彼の政治に参加し・政治を議論する能力が抜きん出ているかどうかということである。現在の人民代表大会のように行政官吏と模範人物によって構成されるのではなく、これら2つの基準によって選出された代表でなければ真の意味での人民代表大会代表ではない。
30年前、改革開放の初期に、我が国ではこの種の人民代表大会代表競争選挙というやり方が試行されたことがあったのだが、何故この重大な実験が何時の間にか立ち消えになってしまった*1のかは知らない。この種のやり方は重大な損害をもたらす*2ことはなく、真に中国の民主化の度合いを改良することができ、基層の人民代表大会から始めて、それを全国人民代表大会に拡大し、最終的には国家主席の直接選挙を実現することが中国の政治体制改革を推進する最も穏健な方式となるのかもしれないと思う。

*1:原文は「無疾而終」。See http://baike.baidu.com/view/344818.htm

*2:原文は「傷筋動骨」。See http://baike.baidu.com/view/132482.htm