「世界遺産」と「旅の劣化」(斎藤美奈子)

斎藤美奈子世界遺産バブルの来し方行く末」『ちくま』475、pp.26-29、2010


小林克己『今すぐ、行きたい! 日本の「世界遺産」+候補地』、佐滝剛弘『「世界遺産」の真実――過剰な期待、大いなる誤解』、毛利和雄『世界遺産地域再生――問われるまちづくり』を紹介する。そして曰く、


日本中の自治体が世界遺産世界遺産へとなびく原因として、もうひとつ、私は日本人の「旅の劣化」があるように思う。べつだん世界遺産に頼らなくても、日本には「国宝」「重要文化財」「国指定史跡」といった文化財保護法に基づく指定物件があるのだし、近年では「登録有形文化財」や経産省が指定する「近代化産業遺産」など、近代化遺産の指定物件も増えている。しかし、多くの観光客はそうした文化財には興味がない。彼らの旅の目的は温泉と食べ物屋と土産物屋で、文化や歴史はどうでもいいのだ。そんな歴史離れ・文化財離れを逆転させる唯一の切り札が世界遺産だとしたら、自治体が目の色を変えるのも無理はない。(p.29)
世界遺産」については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060602/1149270191 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060919/1158634841 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070206/1170781404 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070408/1176061638 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070706/1183741323 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080418/1208455455 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080606/1212716967 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080618/1213764180 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080702/1214976924 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080821/1219323529 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080909/1220936285 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090807/1249609218 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090814/1250244263 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100201/1265001235 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100518/1274141582で言及している。